こうの史代
こうの 史代 | |
---|---|
こうの 史代, 2018. | |
生誕 | 1968年9月28日(56歳) 広島県広島市西区 |
国籍 | 日本 |
活動期間 | 1995年 - |
代表作 | 『夕凪の街 桜の国』 『この世界の片隅に』 |
受賞 | 第8回文化庁メディア芸術祭マンガ部門大賞 第9回手塚治虫文化賞新生賞 |
こうの 史代(こうの ふみよ、1968年9月28日 - )は、日本の女性漫画家、イラストレーター。広島県広島市西区出身。広島大学理学部中退、2001年放送大学教養学部卒業[1]。比治山大学美術科客員教授[2]。
略歴
[編集]子供時代に好きだった漫画は『大純情くん』[3]。教育熱心な家庭で育ち、当時はあまり漫画を読ませてもらえなかった。限られた小遣いで漫画を買っていた日々だったが、自分で描くことを思いつき、中学生の頃より漫画を描き始める。
高校時代は科学部の部長だった(美術部にもかけもちで参加していた)[4]。1987年に広島大学理学部に入学[5]。大学ではイラストマンガ同好会に所属していた [6]。本職の漫画家を志して大学を中退し、上京後、とだ勝之、谷川史子などのアシスタントを経て、1995年に『街角花だより』でデビュー。
2004年、代表作でもある『夕凪の街 桜の国』(双葉社)で第8回文化庁メディア芸術祭マンガ部門大賞、第9回手塚治虫文化賞新生賞を受賞。同作は田中麗奈主演で映画化され、2007年7月に公開された。
2009年、『この世界の片隅に』(双葉社)で第13回文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞、同作は2011年に日本テレビ、2018年にTBSでドラマ化され、2016年には片渕須直監督によって劇場アニメが公開された。
2019年、大英博物館で開催されたマンガ展「The Citi exhibition Manga」にて『ギガタウン 漫符図譜』が展示された[7]。
2021年、2016年から在住する福知山市との縁でイラスト「麒麟のいる街」を執筆[8]。
作風
[編集]トーンを極力使わない絵柄で、日常生活を主なテーマとした様々なタイプの作品を執筆している。活動範囲は児童書から青年誌まで広範囲に及び、イラストレーターとして書籍の挿絵を担当する他、同人誌での活動も行なっている。
連載
[編集]- 街角花だより(1995年 - 1996年、アクション増刊 クレヨンしんちゃん特集号、双葉社 / 2002年 - 2003年、まんがタウンオリジナル、双葉社)
- 花屋を舞台にした短編連作集。1995年版はこうのの初連載作品。
- ぴっぴら帳(1997年 - 2004年、まんがタウン、双葉社)
- こっこさん(1999年 - 2001年、まんがタイムジャンボ、芳文社)
- 拾ったニワトリ「こっこさん」とやよいと家族の物語。
- 長い道(2001年 - 2004年、すてきな主婦たち、双葉社)
- 理由ありで結婚した2人のちょっと変わった物語。1話3、4ページの短編連作集。「こっこさん」に登場したのと同一と思われる人物が登場する。
- 2022年3月25日よりWEBコミックぜにょんにてリバイバル連載中。
- かっぱのねね子(2001年 - 2002年、おおきなポケット、福音館書店)
- 夕凪の街 桜の国(2003年 - 2004年、週刊漫画アクション・漫画アクション、双葉社)
- さんさん録(2004年 - 2006年、漫画アクション、双葉社)
- 主人公は男やもめの参さん。亡き妻の遺したノートを見ながら主夫生活に取り組む。
- この世界の片隅に(2007年 - 2009年、漫画アクション、双葉社)
- 太平洋戦争末期の広島を舞台に、軍都・呉へと嫁いだ主人公・すずの日常を描いた物語。
- 平凡倶楽部(2009年 - 2010年、ウェブ平凡、平凡社)
- エッセイ集。単行本には「わしズム」収録の掌編漫画(19、22、23、28、29号収録)も収録。
- ぼおるぺん古事記(2011年 - 2012年、ウェブ平凡、平凡社)
- あのとき、この本(こどものとも、福音館書店)
- 児童書を中心とした書評エッセイ。
- 日の鳥(2012年 - 2016年、週刊漫画ゴラク、日本文芸社)
- 百一 hyakuichi(2018年 - 、週刊漫画ゴラク、日本文芸社)[9]
- 百人一首とともに句から着想を得たイラストを1ページ描く漫画。漫画ゴラク裏表紙で連載する。
- 空色心経(2023年12月19日[10] - 、こうのの日々)
単行本
[編集]- 『ぴっぴら帳(ノート)』1、完結編(2000-2004年、双葉社)のち文庫
- 『夕凪の街 桜の国』(2004年、双葉社)のち文庫
- 『こっこさん』(2005年、宙出版)
- 『長い道』(2005年、双葉社)のち文庫
- 『長い道【新装版】』(2022年6月20日、ゼノンコミックスDX)
- 『さんさん録』(2006年、双葉社)のち文庫
- 『街角花だより』(2007年、双葉社)のち文庫
- 『この世界の片隅に』全3巻(2008-2009年、双葉社)2011年に新装版全2巻
- 『平凡倶楽部』(2010年、平凡社)
- 『ぼおるぺん古事記 天の巻・地の巻・海の巻』(2012-2013年、平凡社)
- 『あのとき、この本』(2014年、平凡社)
- 『日の鳥』全2巻(2014-2016年、日本文芸社)
- 『荒神絵巻』(2014年、朝日新聞出版)
- 宮部みゆきと共著。『荒神』連載中に描かれたオールカラーの挿し絵を収録。
- 『ギガタウン漫符図譜』(2018年、朝日新聞出版)
挿し絵
[編集]新聞
[編集]絵本
[編集]児童文学書
[編集]- 天下無敵のお嬢さま!シリーズ(濱野京子作)
一般書
[編集]- 日本の鉄道ことはじめ(沢和哉作)ISBN 978-4806755951
表紙画
[編集]- 吉原花魁日記 光明に芽ぐむ日(森光子作)
- 春駒日記 吉原花魁の日々(森光子作)
アニメーション
[編集]- 花は咲く(キャラクターデザイン・絵コンテ原案、監督:片渕須直)
- 百個の太陽の朝(キャラクターデザイン、監督:ジミー・テルアキ・ムラカミ、脚本:富川元文)[要出典] ※監督逝去により未発表
- オタフクソースのアニメ・わたしの名はオオタフクコ〜小さな幸せを、地球の幸せに。〜(キャラクターデザイン)
映画
[編集]- この世界の片隅に(東京テアトル配給の劇場公開作品)
- この世界の(さらにいくつもの)片隅に(別バージョン作品(長尺版)、新編)
その他
[編集]- 放送大学イメージキャラクター“まなぴー” キャラクターデザイン、2008年9月[1]
関連書籍
[編集]- 『ユリイカ』2016年11月号「特集=こうの史代」[12](青土社、2016年10月)
- 『「この世界の片隅に」こうの史代 片渕須直対談集 さらにいくつもの映画のこと』(文藝春秋、2019年11月)
- 『この世界の片隅に ガイドブック』(双葉社、2016年10月、増補版2020年2月)
脚注
[編集]- ^ a b “放送大学イメージキャラクター 放送大学 - テレビ・ラジオで学ぶ通信制大学”. 放送大学. 2016年12月11日閲覧。
- ^ 『ユリイカ 2016年11月号 特集=こうの史代』青土社、2016年、p.214 ISBN 978-4-791-70317-3
- ^ 「atプラス」30号「動く人」インタビュー(太田出版)
- ^ こうの史代・片渕須直対談集『「この世界の片隅に」』(文藝春秋)P.61
- ^ 広島大学広報誌『HU-plus』Vol.5(2018年1月号)p.9
- ^ “とだ勝之のツイート” (2015年2月2日). 2021年3月22日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年3月22日閲覧。
- ^ “国外では最大規模! 大英博物館マンガ展「The Citi exhibition Manga」レポート”. マンバ通信 - マンバ. 2020年5月20日閲覧。
- ^ “福知山のこと”. 福知山市 福知山城. 2021年4月9日閲覧。
- ^ Inc, Natasha. “こうの史代、百人一首を題材にしたゴラク裏表紙での1ページ連載がスタート”. コミックナタリー. 2019年8月9日閲覧。
- ^ a b c d “こうの史代の新連載「空色心経」ブログでスタート 掲載は下書き残る生原稿”. コミックナタリー (ナターシャ). (2023年12月19日) 2023年12月19日閲覧。
- ^ こうの史代『ギガタウン 漫符図譜』朝日新聞出版、東京、2018年1月19日。ISBN 9784022515124。
- ^ “ユリイカでこうの史代特集、単行本未収録の短編に近藤ようこらの寄稿も”. コミックナタリー. (2016年10月27日) 2016年11月30日閲覧。