アリオク
アリオク(Arioch)またはアリヨク、アリオーシュとは、ヘブライ語で「獰猛な獅子」を意味する語。旧約聖書にはこの名を持つ人物が二人登場し、口語訳では「アリオク」と表記されるが、新改訳と新共同訳では「アリヨク」と訳出されている。
ヨーロッパの悪魔学でも同名の悪魔の存在が語られている。フレッド・ゲティングズ著『悪魔の事典』によると「復讐のデーモン」であるという。
フィクションにおけるアリオク
[編集]- ジョン・ミルトン作『失楽園』では堕天使の一人としてサタンの陣営に加わっている。
- 『エターナル・チャンピオンシリーズ』では、法の勢力と対立する混沌の魔神の一柱として登場。
- 早川書房「SFマガジン」1974年6月号掲載、鏡明訳「夢見る都」においてアリオッホと表記。
- 新書館「ウイングス」創刊号(1982年10月1日)、井辻朱美訳「夢見る都」でもアリオッホを継承。
- ハヤカワ文庫〈紅衣の公子コルム〉第1巻、斉藤伯好訳『剣の騎士』(1982年4月30日)においてアリオッチと表記。
- 集英社〈フォン・ベック〉第1巻、小尾芙佐訳『堕ちた天使』(1982年10月25日)でもアリオッチを継承。
- ハヤカワ文庫〈エルリック・サーガ〉第1巻、安田均訳『メルニボネの皇子』(1984年11月30日)および井辻朱美訳の第2巻以降でもアリオッチを継承。
- 創元推理文庫〈ホークムーン〉第2部〈ブラス城年代記〉第2巻、井辻朱美訳『ギャラソームの戦士』(1988年12月23日)でもアリオッチを継承。
- 新紀元社、健部伸明と怪兵隊『幻想世界の住人たちII』(1989年05月30日)において、アリオクとアリオッチの同一性について言及。
- ハヤカワ文庫〈エルリック・サーガ〉新版第1巻、井辻朱美訳『メルニボネの皇子』(2006年3月31日)より、新版〈永遠の戦士〉全作においてアリオッホに復帰。曰く「最初に出会った鏡明訳にならい「アリオッホ」に改めたのは、その思い出のせいもあるが、五巻でかれの転生者のひとりフォン・ベックが、いきなりエルリックの意識と融合して、魔神の名前を口にのぼせるところがあるからで、ドイツ人ならばやはり「アリオッホ」だろうと、それも弁明のひとつである」とのこと。
- 河出文庫『不死鳥の剣 剣と魔法の物語傑作選』(2003年3月10日)収録、中村融訳「翡翠男の眼」においてアリオック表記。「魔神アリオックの表記は、作者本人の発音にしたがった」とのこと。
- KADOKAWAコミックス〈エルリック・サーガ〉1、井辻朱美訳「ルビーの玉座/魔剣ストームブリンガー」(2020年8月28日)においてアリオックを継承。
- アトリエサード「ナイトランド・クォータリー」第27号(2021年12月16日)収録、健部伸明訳「最期の呪縛〜もしくは混沌との戯れ〜」より、アリオックを継承。
- アトリエサード「ナイトランド・クォータリー」第33号(2023年9月7日)収録、健部伸明訳「深紅の真珠」後編より、アリオク表記に変更。曰く「エルリックの守護神ですが、〈第二エーテル〉シリーズを読み進めていくと「ミルトンの『失楽園』に登場する悪魔と同一存在だ」という印象がどんどん強くなってきました。そこで今号より(叫んでいるとき以外は)悪しからずアリオク表記に変更させていただきたく存じます」とのこと。
- 『女神転生シリーズ』では魔王として登場。