シラッシの多面体

シラッシの多面体
シラッシの多面体
種別 穿孔多面体七面体
面数 7つの六角形
辺数 21
頂点数 14
頂点形状 6,6,6
対称群 C1, [ ]+, (11)
双対多面体 チャーサールの多面体
特性 非凸
テンプレートを表示

シラッシの多面体(シラッシのためんたい、: Szilassi polyhedron)は7つの六角形の面からなる、トーラスに同相な、凸でない多面体である。

彩色と対称性

[編集]

シラッシの多面体の全ての面は、他のどの面とも一辺を共有している。よって、隣接する面を異なる色で塗るためには七色を要し、七色定理の下界値を与える。シラッシの多面体は180度回転対称の軸を1つ持ち、3対の面は合同である。対にならない残り1つの六角形は、この軸に関して垂直かつ180度回転対称である。14個の頂点と21本の辺は、トーラス表面へと埋め込まれたヒーウッド・グラフの形をしている。

面の完全な隣り合い

[編集]
数学の未解決問題
面の数が7より多く、全ての面同士が一辺を共有するような非凸多面体は存在するか?

四面体とシラッシの多面体は、全ての面同士が一辺を共有する多面体として(今のところ)知られているただ2つのものである。

もし f 枚の面を持つ多面体が h 個の穴を持つ曲面に埋め込まれていて、全ての面が他のどの面とも一辺を共有しているならば、オイラー標数の式を変形して であることが導かれる。四面体は h = 0, f = 4 で、シラッシの多面体は h = 1, f = 7 でこの等式を満たす。

数式上、次に考えられるのは h = 6, f = 12 で、これは各面が十一角形で44個の頂点と66本の辺をもつ多面体になるだろう。しかしながら、そのような多面体が(単に抽象多面体英語版であるにとどまらず)幾何的に実現できるか否かは知られていない。一般には、この式が満たされるのは のときに限られる。

歴史

[編集]

シラッシの多面体の名は、1977年にこれを発見したハンガリーの数学者ラヨシュ・シラッシ(Lajos Szilassi)に由来する。その双対であるチャーサールの多面体はアーコシュ・チャーサール(Ákos Császár)が1949年に発見していたもので、こちらは7つの頂点、全ての頂点対を結ぶ21本の辺、14枚の三角形の面を持つ(Császár 1949)。チャーサールの多面体もシラッシの多面体と同様、トーラスと同相である。

ギャラリー

[編集]

参考文献

[編集]
  • Császár, Ákos (1949), “A polyhedron without diagonals”, Acta Sci. Math. Szeged 13: 140–142 .
  • Gardner, Martin (1978), “In Which a Mathematical Aesthetic is Applied to Modern Minimal Art”, Scientific American 239 (5): 22–32, doi:10.1038/scientificamerican1178-22 .
  • Jungerman, M.; Ringel, Gerhard (1980), “Minimal triangulations on orientable surfaces”, Acta Mathematica 145 (1–2): 121–154, doi:10.1007/BF02414187 .
  • Peterson, Ivars (2007), “A polyhedron with a hole”, MathTrek, Mathematical Association of America, http://www.maa.org/mathland/mathtrek_01_22_07.html .
  • Szilassi, Lajos (1986), “Regular toroids”, Structural Topology 13: 69–80, http://www-iri.upc.es/people/ros/StructuralTopology/ST13/st13-06-a3-ocr.pdf 
  • マーク・チャンバーランド 著、川辺治之 訳『ひとけたの数に魅せられて』岩波書店、2016年。ISBN 9784000058858 
  1. ^ Branko Grünbaum, Lajos Szilassi, Geometric Realizations of Special Toroidal Complexes, Contributions to Discrete Mathematics, Volume 4, Number 1, Pages 21-39, ISSN 1715-0868

外部リンク

[編集]