スペースX Crew-9
ISSのハーモニー前方側ポートに接近するクルードラゴンの想像図 | |
名称 | USCV-9 |
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任務種別 | ISS乗員輸送 |
運用者 | スペースX |
任務期間 | 180日(計画) |
特性 | |
宇宙機 | クルードラゴン フリーダム |
宇宙機種別 | クルードラゴン |
製造者 | スペースX |
乗員 | |
乗員数 | 打ち上げ時:2、帰還時:4 |
乗員 | |
着陸 | |
長期滞在 | 第72次長期滞在 |
任務開始 | |
打ち上げ日 | 2024年9月24日以降(計画) |
ロケット | ファルコン9ブロック5(B1085.2) |
打上げ場所 | ケープカナベラル宇宙軍施設 SLC-40 |
打ち上げ請負者 | スペースX |
任務終了 | |
着陸日 | 2025年3月(計画) |
着陸地点 | 太平洋(計画) |
軌道特性 | |
参照座標 | 地球周回軌道 |
体制 | 低軌道 |
傾斜角 | 51.66° |
ISSのドッキング(捕捉) | |
ドッキング | ハーモニー 前方側ないし天頂側 |
ドッキング(捕捉)日 | 2024年9月25日(計画) |
分離日 | 2025年3月(計画) |
dock時間 | 150日(計画) |
スペースX Crew-9の徽章 (左から)ゴルブノフ、ヘイグ |
スペースX Crew-9は、クルードラゴン宇宙船による、NASA商業乗員飛行としては9回目、有人軌道飛行としては15回目として計画されている飛行。このミッションではNASAの宇宙飛行士ジーナ・カードマン、ニック・ヘイグおよびステファニー・ウィルソンとともにロスコスモスの宇宙飛行士アレクサンドル・ゴルブノフの4名を国際宇宙ステーション(ISS)へと運ぶ。当初、2024年8月18日の打ち上げが予定されていたが、ボーイング スターライナーの技術的問題にともなって9月24日へと延期された。
Crew-9ミッションは、クルードラゴン宇宙船にとっていくつかのマイルストーンに到達する予定である。このミッションはケープカナベラル宇宙軍施設第40発射施設(SLC-40)から打ち上げられる初の有人ミッションであるとともに、クルードランゴンとして太平洋での着水で完了する初のミッションとなる。
クルー
[編集]このミッションでは当初、NASAの宇宙飛行士ジーナ・カードマン、ニック・ヘイグおよびステファニー・ウィルソンとともにロスコスモスの宇宙飛行士アレクサンドル・ゴルブノフをISSへと運ぶことが計画されていた。カードマンが指揮官、ヘイグが操縦士、ウィルソンとゴルブノフがミッションスペシャリストとして割り当てられていた[1]。しかしながら、ボーイング スターライナーの技術的問題から、スターライナーを無人で地球に帰還させ、ボーイング有人飛行試験の宇宙飛行士を地球に帰還させるためにCrew-9を2名分の座席を空けて打ち上げる決定がなされた[2]。
8月30日、NASAはヘイグとゴルブノフがCrew-9で飛行し、ヘイグが指揮官を務めることを発表した。ゴルブノフはNASAとロスコスモスの乗員交換合意の一部として飛行することが求められた[3]。公式発表の前に、Ars Technicaは誰が指揮官として搭乗するについてNASA内部で不一致があると報じた。報道によれば、NASAの主任宇宙飛行士のジョセフ・アカバは当初はカードマンを継続して指揮官に選択したが、宇宙飛行士オフィス内ではNASAがテストパイロットや経験豊富な宇宙飛行士を指揮官に据えずにミッションを開始したことがないと言う歴史から懸念の声が上がっていた。カードマンとゴルブノフはどちらも新人宇宙飛行士であり、テストパイロットの経験もない。一方、ヘイグは宇宙飛行の経験があり、ソユーズ MS-10の打ち上げ中止を生き延びた数少ない人物の一人である[4]。
正クルー
[編集]地位 | 打ち上げ機宇宙飛行士 | 着陸機宇宙飛行士 |
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指揮官 | ニック・ヘイグ, NASA 第72次長期滞在 2[注釈 1]回目の宇宙飛行 | |
ミッションスペシャリスト | アレクサンドル・ゴルブノフ, Roscosmos 第72次長期滞在 1回目の宇宙飛行 | |
ミッションスペシャリスト | なし | バリー・E・ウィルモア, NASA 第71/72次長期滞在 3回目の宇宙飛行 ボーイング有人飛行試験で打ち上げ |
ミッションスペシャリスト | なし | スニータ・ウィリアムズ, NASA 第71/72次長期滞在 3回目の宇宙飛行 ボーイング有人飛行試験で打ち上げ |
当初のクルー
[編集]地位 | 宇宙飛行士 | |
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船長 | ジーナ・カードマン, NASA 第72次長期滞在 1回目の宇宙飛行 | |
操縦士 | ニック・ヘイグ, NASA 第71 / 72次長期滞在 2[注釈 1]回目の宇宙飛行 | |
第1ミッションスペシャリスト | ステファニー・ウィルソン, NASA 第72次長期滞在 4回目の宇宙飛行 | |
第2ミッションスペシャリスト | アレクサンドル・ゴルブノフ, Roscosmos 第72次長期滞在 1回目の宇宙飛行 |
ミッション
[編集]スペースX Crew-9は国際宇宙ステーション(ISS)への9回目のNASA商業乗員輸送計画のフライトであるとともに、スペースX ドラゴン宇宙船の15回目の有人軌道ミッションである。このフライトでは6ヶ月間のミッションとなる第72次長期滞在の4名の乗組員であるNASAの宇宙飛行士ジーナ・カードマン(指揮官)、ニック・ヘイグ(操縦士)およびステファニー・ウィルソン(ミッションスペシャリスト)とともにロスコスモスの宇宙飛行士アレクサンドル・ゴルブノフ(ミッションスペシャリスト)をISSへと運ぶことになっていた[1]。しかしながら、NASAはスターライナーの有人飛行試験の2名の宇宙飛行士をCrew-9を使用して帰還させる決定を下した。そのため、Crew-9は乗員2名で打ち上げることになった[5]。
フリーダムと名付けられたドラゴン宇宙船は、スペースX Crew-4とアクシオム・スペースのAx-2およびAx-3などの以前の宇宙飛行で使用されてきた[6]。ファルコン9の第1段ブースターB1085にとっては2回目の飛行となる。
当初2024年8月18日に予定されていた打ち上げは、現在ISSにドッキングしているボーイング スターライナー カリプソ宇宙船についての引き続く懸念のために9月24日に再スケジュールされた。この遅延によってNASAはスターライナーの状態を評価し、乗組員の安全な帰還計画を策定するための追加の時間を確保できる[7][8]。
Crew-9は、これまでのスペースXの有人ミッションすべてに使用されてきたケネディ宇宙センターの発射施設39A(LC-39A)を使用する予定だったが、Crew-9の打ち上げが9月24日に再スケジュールされたことで、10月前半の21日間の期間内にLC-39Aから打ち上げなければならないNASAのエウロパ・クリッパー・ミッションの打ち上げと不快なほど接近することとなった。スケジュールの競合を避け、両方のミッションに十分な準備時間を確保するため、スペースXは、ケープカナベラル宇宙軍施設の第40発射施設(SLC-40)からCrew-9を打ち上げる予定である[9]。これは、SLC-40から打ち上げられる初の有人ミッションとなる。スペースXは、このような運用を容易にするために、2023年からこの場所にクルー・アクセス・タワーを建設していた[10]。
このミッションは、クルードラゴンのミッションとしては初めてとなる太平洋への着水でのミッション完了を2025年3月に予定されている。ドラゴン1のミッションでは太平洋に着水していたが、スペースXとNASAは2019年に回収エリアを東海岸に移動した。この移動は着水後に宇宙飛行士と繊細な貨物のケネディ宇宙センターへ帰還させることを可能にし、スペースXは飛行後のカプセルを受け入れ、次のミッションの準備をする施設をフロリダに開設した。しかしながら、この移動は再突入前に切り離さなければならないトランクモジュールが燃え尽きずに地上に残骸が落下するという予期せぬ結果を招いた。太平洋への着水に戻ることは、トランクをより長い時間取り付けたままし、再突入を生き延びた破片が損害を引き起こす可能性が低い「スペースクラフト・セメタリー」とあだ名される遠隔海域にむけることができることを意味する[11][12]。
脚注
[編集]注釈
[編集]- ^ a b 中断されたソユーズ MS-10は飛行回数に含まない
出典
[編集]- ^ a b Doyle, Tiernan P. (17 July 2024). “NASA, SpaceX Invite Media to Watch Crew-9 Launch to Space Station”. NASA. 17 July 2024閲覧。
- ^ Taveau, Jessica (2024年8月24日). “NASA Decides to Bring Starliner Spacecraft Back to Earth Without Crew”. NASA. 2024年8月24日閲覧。 この記述には、アメリカ合衆国内でパブリックドメインとなっている記述を含む。
- ^ Donaldson, Abbey A. (August 30, 2024). “NASA's SpaceX Crew-9 Changes Ahead of September Launch”. NASA. 2024年8月30日閲覧。
- ^ Berger, Eric (2024年8月23日). “Cards on the table: Are Butch and Suni coming home on Starliner or Crew Dragon?” (英語). Ars Technica. 2024年8月24日閲覧。
- ^ Daines, Gary (August 20, 2024). “FAQ: NASA's Boeing Crew Flight Test Return Status”. NASA. August 22, 2024閲覧。
- ^ Costa, Jason (26 July 2024). “NASA, SpaceX Targeting Aug. 18 for Crew-9 Mission to Space Station” (英語). NASA. 6 August 2024閲覧。
- ^ Berger, Eric (5 August 2024). “NASA likely to significantly delay the launch of Crew 9 due to Starliner issues” (英語). Ars Technica 5 August 2024閲覧。
- ^ Niles-Carnes, Elyna (6 August 2024). “NASA Adjusts Crew-9 Launch Date for Operational Flexibility” (英語). NASA. 6 August 2024閲覧。
- ^ Berger, Eric (6 August 2024). “NASA chief will make the final decision on how Starliner crew flies home”. Ars Technica 7 August 2024閲覧. "The Crew-9 mission is now expected to launch from Space Launch Complex 40 at Cape Canaveral Space Force Station in Florida. This will be the first crewed launch from this complex, which SpaceX has built up in addition to its crew tower at Launch Complex 39A at nearby Kennedy Space Center."
- ^ Clark, Stephen (21 March 2024). “SpaceX’s workhorse launch pad now has the accoutrements for astronauts” (英語). Ars Technica 7 August 2024閲覧。
- ^ Robinson-Smith, Will (26 July 2024). “NASA holds briefings on Crew 9 mission as SpaceX nears return to flight” (英語). Spaceflight Now. 27 July 2024閲覧。
- ^ “Dragon Recovery to Return to the U.S. West Coast”. SpaceX (26 July 2024). 27 July 2024閲覧。