フラムスティード番号

フラムスティード番号[1](フラムスティードばんごう、Flamsteed numbers[1]、Flamsteed designation)(フラムスティード名[2]、フラムスティード数[3])は、恒星の命名法である。

一般的にはイギリス天文学者ジョン・フラムスティードが考案したとされるが[3]、実際にはフラムスティードではない[4]。『大英恒星目録』(Historia coelestis Britannica)および『天球図譜』(Atlas Coelestis)の初版(ともにイギリスで刊行)には記載はない[4]。はじまりは、ジェローム・ラランドによる1783年発行のフラムスティード星表のフランス語訳版、あるいはアイザック・ニュートンエドモンド・ハレーによってフラムスティードの許可なしに刊行された予備版の星表などが考えられるが、定かではない[4]

星座ごとの通し番号と、星座名の属格で表す。約100年前に発表された、アルファベットと星座名の属格を使うバイエル符号に似ているが、主要な違いは次のとおり。

  • バイエル符号より数が多い。2554の天体に付けられた。[要出典]
  • バイエル符号がほぼ等級順なのに対し、フラムスティード番号は西(日周運動の前方)からである。
  • バイエル符号は全天を扱っている。一方、フラムスティード番号はイギリスから比較的観望しやすい52星座を対象としている[3]赤緯およそ-35度より南の恒星には、フラムスティード番号はない(例外あり)。
  • バイエル符号が、明るい星になかったり暗い星についていたりするのに対し、フラムスティード番号は、一定以上の輝度の星にはほぼついている(完全にではない)。

欠番・追加など

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バイエル符号同様、当時と星座が変わったため使われなくなったフラムスティード番号もある。

フラムスティード番号の中には、どの恒星か不明なものもある。そのうち1つ「おうし座34番星」は、1690年にフラムスティードが観測したものだが、後に天王星を恒星と誤認したものであることが明らかになった。もう1つの「カシオペヤ座3番星」の位置には、現在は超新星残骸があるため、フラムスティードは超新星を観測したのだという説がある。

例外的に南天中高赤緯に付けられたフラムスティード番号がいくつかある。そのうちエリダヌス座82番星は、フラムスティードがつけた番号ではなく、ベンジャミン・グールドが南天の星表 Uranometria Argentina で名づけたものである。

なお、きょしちょう座47球状星団)は、フラムスティード番号ではなく、ヨハン・ボーデが作成した星表の番号である。

他の符号との関係

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バイエル符号のある恒星のほとんどにはフラムスティード番号があるが、南天中高赤緯にフラムスティード番号がないことや、いくつか暗い星がバイエル符号を持っていることなどにより、バイエル符号だけがある恒星も少なくない。バイエル符号とフラムスティード番号を両方持つ恒星は通常バイエル符号で呼ばれるが、いくつか例外もある。

バイエル符号もフラムスティード番号もない恒星は、ヘンリー・ドレイパー番号(HD + 数字)で呼ばれることが多く、それもなければさまざまな星表番号が使われる。

出典

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  1. ^ a b 『オックスフォード天文学辞典』(初版第1刷)朝倉書店、357頁頁。ISBN 4-254-15017-2 
  2. ^ 国立天文台暦計算室 こよみ用語解説 おもな恒星の名前2015-07-06閲覧
  3. ^ a b c 新装改訂版 星座の神話 -星座史と星名の意味- 4版 p62 原恵著 恒星社厚生閣 ISBN 978-4-7699-0825-8
  4. ^ a b c 天文学大事典 初版 p594 地人書館 2007年 ISBN 978-4-8052-0787-1