マルタ (魚)
マルタ | |||||||||||||||||||||||||||
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マルタ Tribolodon brandtii maruta なかがわ水遊園飼育展示個体 | |||||||||||||||||||||||||||
分類 | |||||||||||||||||||||||||||
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学名 | |||||||||||||||||||||||||||
Pseudaspius brandtii (Dybowski, 1872)[1] | |||||||||||||||||||||||||||
シノニム[1][2] | |||||||||||||||||||||||||||
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和名 | |||||||||||||||||||||||||||
マルタ[3] | |||||||||||||||||||||||||||
英名 | |||||||||||||||||||||||||||
Pacific redfin |
マルタ(丸太[3]、Pseudaspius brandtii)は、ウグイ亜科に分類される魚。マルタウグイと呼ばれることもある[4]。コイ科魚類の中で、降海性を獲得した数少ない魚類である[5][6]。形態からマルタ型とジュウサンウグイ型の2型に分けられ[7]、これらを亜種として区別する説もある[2]。
分布
[編集]東京湾から富山湾までの本州、北海道、サハリンから沿海州、朝鮮半島東岸にかけて[7]
形態
[編集]全長30-40 cm[8]。最大で60 cm[8]、1.5 kg程度になる[要出典]。最大では近縁種のウグイより大型になる。ウグイの婚姻色(赤色縦条)が体側に3本であるのに対し、マルタは腹側に1本である[9]。自然の状態でウグイとは容易に交雑するかは不明である。
分類
[編集]2020年にウグイ属の学名がTribolodonからPseudaspiusに変更された[10][11]。
亜種
[編集]1960年代よりマルタとジュウサンウグイが異なるとする報告がいくつかされていた[12][13]が、「遺伝学」「形態学」「生態学」の各観点からの研究は不十分と指摘されていた[5]。2014年(2015年とする文献もあり)、マルタ T. b. maruta と、ジュウサンウグイ T. b. brandtii に分けられた[2][14]。
以下の分類・和名は、本村 (2020) に従う[11]。英名は、藤田 (2019) に従う[15]。
- Pseudaspius brandtii brandtii (Dybowski, 1872) ジュウサンウグイ Jusan dace
- 富山湾以北の日本海沿岸、青森県太平洋側の本州、北海道、サハリンから沿海州、朝鮮半島東岸に分布する[5][8]。模式産地はハンカ湖[2]。
- マルタよりも鱗数が多く、頭長が大きいといった特徴がある[8]。
- Pseudaspius brandtii maruta (Sakai & Amano, 2014) マルタ Maruta dace
- 東京湾から岩手県大船渡湾にかけての太平洋沿岸の流入河川に分布する[8]。模式産地は多摩川[2]。
- ジュウサンウグイと比較して吻部がやや短い[15]。
生態
[編集]主に沿岸部から河川河口部の汽水域に生息し、春の産卵期には川を遡上する遡河回遊魚である。幼魚は1年ほど河口付近で過ごし、7-9 cmほどに成長して海に降る。寿命は10年ほどと比較的長命である。動物食性で、貝類やゴカイ類、小型の魚類やエビなどの甲殻類といった小動物を捕食する[要出典]。
人間との関係
[編集]ウグイよりも引きが強く、多摩川や宮城県の広瀬川などで釣りの対象魚として人気がある[16]。食用としてはウグイに優るとされ、洗いやたたき、焼き物などに向いている[16]。
ルアーフィッシングの対象魚であるスズキの外道としてよく釣れる。食用になるが、小骨が多いのでよく煮るか甘露煮などにするのが適している[要出典]。
汽水域の特に排水口付近を好んで生息しているために生臭い個体が多い。そのため、皮と血合い、内臓は利用せずに、白身を味噌、だし汁(鰹節と昆布)に浸し、圧力鍋で煮ると、臭みが無くなり、小骨はやわらかくなり食べやすくなる[要出典]。
- 那珂湊漁港にて釣り上げられたマルタ
- 2回(20分加熱)圧力鍋で煮ることにより小骨がやわらかくなったマルタのサク
- マルタには身の節ごとに小骨が存在するため、食べるにはひと工夫が必要
脚注
[編集]- ^ a b “Pseudaspius brandtii (Dybowski, 1872)”. WoRMS (2023年1月10日). 2023年7月17日閲覧。
- ^ a b c d e Sakai, Harumi; Amano, Shota (2014). “A new subspecies of anadromous Far Eastern dace, Tribolodon brandtii maruta subsp. nov. (Teleostei, Cyprinidae) from Japan”. Bulletin of the National Museum of Nature and Science, Series A (Zoology) 40: 219-229. CRID 1520573331262612096 .
- ^ a b 田口哲 著・細谷和海 監修『フィールドガイド 淡水魚 識別図鑑』誠文堂新光社、2014年、124頁。
- ^ 木村義志 監修『増補改訂フィールドベスト図鑑 6 日本の淡水魚』学研、2009年、71頁、ISBN 978-4054038431
- ^ a b c 酒井治己、中井博紀、天野翔太、須田有輔「遡河回遊性コイ科魚類ウグイ属マルタ椎体異常個体の形態学的特徴」『水産大学校研究報告』第62巻第2号、2014年、63-68頁、CRID 1050001338770023680。
- ^ 石崎大介、淀太我「耳石微量元素分析に基づいたニゴイ類の塩分環境経験の証拠」『伊豆沼・内沼研究報告』第12巻、2018年、63-71頁、doi:10.20745/izu.12.0_63。
- ^ a b 天野翔太・酒井治己「降海性コイ科魚類ウグイ属マルタ2型の形態的分化と地理的分布」『水産大学校研究報告』第63巻 1号、水産大学校、2014年、17-32頁。
- ^ a b c d e 藤田朝彦「ウグイ属」、中坊徹次 編・監修『小学館の図鑑Z 日本魚類館』小学館、2020年第5刷(初版2018年)、109頁、ISBN 9784092083110
- ^ 末広恭雄『魚の博物事典』講談社学術文庫、1989年、95頁、ISBN 4061588834
- ^ Harumi Sakai, Katsutoshi Watanabe & Akira Goto, “A revised generic taxonomy for Far East Asian minnow Rhynchocypris and dace Pseudaspius,” Ichthyological Research, Volume 67, No. 2, Ichthyological Society of Japan, 2020, Pages 330–334.
- ^ a b 本村浩之『日本産魚類全種目録 これまでに記録された日本産魚類全種の現在の標準和名と学名』鹿児島大学総合研究博物館、2020年、27-28頁。
- ^ 中村守純『日本のコイ科魚類 日本産コイ科魚類の生活史に関する研究』資源科学研究所〈資源科学シリーズ〉、1969年。全国書誌番号:69003577。
- ^ 小野寺隆、本間義治「東北日本におけるウグイ属魚類の種族分化」『動物分類学会誌』第12巻、1976年、65-77頁、doi:10.19004/pjssz.12.0_65。
- ^ 長澤和也、片平浩孝「日本産ウグイ属魚類の寄生虫目録 : 補足(2016年) A synopsis of the parasites from cyprinid fishes of the genus Tribolodon in Japan: A 2016 update and supplement」『広島大学大学院生物圏科学研究科紀要』第55巻、2016年、57-70頁、doi:10.15027/43710。
- ^ a b 藤田朝彦「ウグイ」ほか、細谷和海 編・監修『山溪ハンディ図鑑 15 増補改訂 日本の淡水魚』山と溪谷社、2019年、112-119頁。
- ^ a b 斉藤憲治『くらべてわかる淡水魚』山と渓谷社、2015年、59頁、ISBN 978-4-635-06346-3