同性結婚

同性愛、またはそれに関する表現や結社の自由に対する法的状況を色分けした世界地図
同性愛を合法とする国
  
結婚1
  
結婚は認められているが法的適用は無し1
  
シビル・ユニオン
  
事実婚
  
同性結婚は認められていない
  
表現や団体の自由を法的に制限
同性愛を違法とする国
  
強制的罰則はない2
  
拘禁
  
終身刑
  
死刑
輪で示した地域は通常ケースバイケースの適用がされている法律や地域ではない場合に地元の裁判所が結婚を容認したり認めなかったり死刑判決を下した場合がある地域。
1このカテゴリに入っている一部の地域では現在他の種類のパートナーシップも存在するとされている。
2過去3年間、もしくはモラトリアム英語版により法的な逮捕はない。

同性結婚(どうせいけっこん、: same-sex marriage)は、法律上の性別が同じ2人(男性と男性、女性と女性)が結婚すること。同性間結婚(どうせいかんけっこん)もしくは同性婚(どうせいこん)ともいう。2024年の時点で、総人口13億人(世界人口の17%)を有する36ヶ国で同性カップルの結婚が合法的に行われ認められている[1][2][3]。最新で同性結婚を合法化した国は、ギリシャ英語版である[4]

日本国内での同性結婚およびパートナーシップ制度については、「日本における同性結婚」を参照。

法域にもよるが、このような関係には、男女の夫婦と同じく、ある種の社会的な権利が付与され、法的な保障や保護が行われる。多くの場合、性別のカテゴリーが同じ者同士[注釈 1]が男女の夫婦のように家族としての親密さを基礎として、社会的にも経済的にもパートナーシップを築き、それを維持することを指す。

国際連合加盟国は196ヶ国ある中[5]、2024年現在で36ヶ国において同性婚が認められ[2][3]、2023年3月現在で30ヶ国において同性カップルに対して婚姻とほぼ同等の代替制度が認められている[6]

仏教神道では同性愛に対して言及は無いために宗教由来の同性愛者への刑罰は無かった。逆に、アブラハムの宗教ユダヤ教キリスト教イスラム教)における旧約聖書創世記』では、ソドムという町の住民たちが男性同性愛者であったことからヤハウェ)により滅ぼされたという伝承を載せ、キリスト教圏イスラム教圏ユダヤ教徒、更にはヒンズー教徒からは同性愛そのものが宗教的異端視や刑事罰の対象とされてきた。しかし、キリスト教圏において1989年にデンマークで世界で初めて、同性カップルに異性カップルが結婚している場合に認められるものとほとんど同じ権利が認められる「登録パートナーシップ法」が作られた[7]。2001年にはオランダで初の同性結婚制度が始まった。そしてユダヤ人が建国したイスラエルでも、ユダヤ教ではタブーであるために同性結婚は導入しないもののシビルユニオンの形で同性愛を容認している[8]。ヒンズー教徒が多数派であるインドの最高裁判所も2018年、同性間性行為者を処罰する刑法の規定がインド憲法に違反するとの判決を下した[9]。こうした動きと対照的に、イスラム教国においては同性愛者は今も異端視され、特に憲法や自国の司法をイスラム法(シャリーア)に義務付けている40前後の国・地域では、同性結婚の禁止と刑罰が憲法に規定されるだけでなく、同性愛自体を犯罪化されている。特にイランなどでは同性愛者は死刑対象となっている[10]

この制度の利用者は同性愛者(男性:ゲイ、女性:レズビアン)なので同性愛結婚(どうせいあいけっこん)や同性愛者の結婚(どうせいあいしゃのけっこん)と呼ばれることもある。また英語(en:same-sex marriage)では主に「same-sex marriage(同性結婚)」もしくは「gay marriage(ゲイ[10] の結婚)」と表記される。

概説

[編集]

現代では、2001年4月1日にオランダで初めて同性カップルに結婚の平等が認められたのが世界で初めて同性結婚が導入された実例である(オランダの同性結婚)。

ただし、友愛関係を基礎とした異性愛者同士の同性結婚が行われる場合もありうる[11] が、それは異性結婚の場合も同様であり、友愛関係を基礎とした異性結婚が行われる場合もあり、このような結婚を「友達婚」と呼ぶ[12][13]。同性結婚を法律婚に含んでいないが罰してもいない国では、国内の民間団体が法的効力は無いイベントとして主催しているケースもある[14]。同様の例として、第21回参議院議員通常選挙民主党の比例代表候補として出馬していた尾辻かな子が2007年6月にHIV予防啓発団体「ANGEL LIFE NAGOYA」主催でパートナーで選挙事務所スタッフである木村真紀と結婚式を挙げている[15][16][17]

21世紀初年の2001年4月1日にオランダで世界初の同性結婚(異性同士の結婚と同一の婚姻制度)の法制化が行われて以降、ヨーロッパを中心として容認の流れが広がっている。2006年7月29日LGBT性的少数者)の権利の擁護と国際人権法確立を目的とした「モントリオール宣言」が採択され、性的指向による差別禁止や社会参加の観点から、同性結婚や登録パートナシップ制度の必要性が盛り込まれた。この宣言の採択には、当時の国連人権高等弁務官であったルイーズ・アルブールが大きな役割を果たした。さらに同年11月6日から9日にかけて、インドネシア国際法律家委員会や前国際連合人権委員会のメンバーが中心となって議決された「ジョグジャカルタ原則」の第3条と第24原則においても、同性結婚の必要性が示唆された。欧州評議会もこれらの宣言や原則を重視している。さらにアメリカ合衆国連邦議会の下院は2022年12月8日、同性婚を合衆国最高裁判所判例だけでなく立法で明確に合法化する結婚尊重法案を可決した[18]。これらことからも、欧米で認められていく方向にある。

カトリック教会の総本山であるローマ教皇庁バチカン市国は、同性結婚には否定的な見解を示しているが、「彼らは神の子であり、家族になる権利がある」と、同性カップルの法的権利を認めるパートナーシップ制度「シビル・ユニオン」への支持は表明している[19]

その一方、政教一致イスラム国家であるサウジアラビアのように、同性結婚や異性装に否定的な見解を表明している国家や地域、団体なども存在し、「同性カップルへの法的承認は、伝統的な家族にとって危険である」「同性愛は不道徳である」「同性愛が将来の国家の人口に危機を与える」などと主張している。これに対し、欧州評議会2010年3月23日の会合で採択した「性的指向と性自認による差別」[20]に於いて一部の団体や組織の主張に対し、「同性カップルの法的承認は、異性の婚姻にも子どもにも何ら悪影響を与えない」と反論した。

日本では、統一教会幸福の科学が同性婚制度の導入に反対している[21][22][23][24]

イスラム圏における同性愛

[編集]

同性結婚の前史

[編集]

歴史上で確認された最古の同性カップルは、古代エジプトの、KhnumhotepとNiankhkhnumであると言われている[25]。彼らはエジプト第5王朝の時期にニウセルラー王 (Niussere) の宮殿のマニキュア師の監督官の称号を共有しており、「国王の腹心たち」と記された墓に共に埋葬されている。

同性愛者の近代的婚姻について本格的に議論され始めたのは、ごく最近で1980年頃からである。法制度的に整備され始めたのは、世界的に見ても1990年代からである。

歴史的には、異性間の婚姻と同様に、同性同士による親密な関係が社会的に承認される文化や制度は存在している。たとえば、ヒッタイト帝国の法典では、奴隷身分の男性が結納金を納める事で自由民の若者を娶り夫となる権利を保障している[26]。エジプトのシーワ・オアシスでは、1940年代に禁止されるまで父兄に結納金を納めて少年を婿に迎える同様の同性婚が行われており、最も長く続いた同性婚制度の一つとされる[27]

ペデラスティ(念者と念友関係の制度化)

[編集]

古代ギリシアでは、年上の男性(エラステース、念兄)が未成年の少年(パイス、念弟)に求愛して稚児(パイディカ)もしくは愛人(エローメノス)の関係を結び、少年愛を通じて年少者を教育し、一人前の男性に成長させるパイデラスティアー[注釈 2](ペデラスティ Pedrasty)という社会規範があった[28]。ことに軍事国家として知られるスパルタでは、パイデラスティアーは軍制度の一部として社会的義務となっていた[29]

パイデラスティアーの社会的承認には、求愛者であるエラステースの社会的地位が問題にされ、その関係は、結婚と同様、性的な側面だけでなく、特別な社会的宗教的な責任が伴っていた。古代ローマ時代のストラボンによれば、拉致による略奪婚も盛んに行われたが、立派な成人男性にかどわかされることは名誉なことと考えられていたという[30]プラトンは著作『法律』においてゼウスにさらわれたガニュメデスの神話について、パイデラスティアーを神聖視したクレタ人の創作であろうと考察している[30]

ベルダーシュ(片方の性転換)による異性愛婚姻擬制

[編集]

古代ローマでは、共和政の時代から同性同士の結婚式が行われている[31]。例として、マルクス・アントニウスは青年時代に妻として小クリオと結婚している。また、帝政時代ローマ皇帝ネロが最初は妻として、二度目は夫として男性と結婚式を挙げた。また、エラガバルス女装して男性と結婚式を挙げている。しかし、これらの男性同士の婚姻はローマ法の上では制度として定かではなく、実態としては社会に公認された事実婚だったという議論が行われている[31]。古代ローマでの同性婚はキリスト教国教としたローマ皇帝コンスタンティウス2世の時代に禁止された。

このように、同性同士の一方が、性を転換して結婚することが、社会的に承認され、制度化されていた例としては、北米大陸先住民族の若干の部族に、かつて存在したベルダーシュ (berdache) 制が挙げられる。これは、身体は男性であっても女性の心を持つと主張する個人、または逆に身体は女性であっても男性の心を持つと主張する個人には、幼少期から女性(男性)の役割と責任を引き受けることで、女性(男性)として生きることを、その部族社会が承認し、その心の性の人間として扱う制度である。

そうした身体とは異なる性として扱われる個人をベルダーシュ[注釈 3]と呼ぶ。

部族社会からベルダーシュと認められた彼ら(彼女ら)は、当然のように部族の他の男性(女性)と結婚することが可能であった。その場合、ベルダーシュたちは自然な女性(男性)と同様に「妻(夫)」として高く評価された。

同様な制度はベーリング海峡周辺の島に居住するアルーテック族(Alutiiqが現行の民族名・言語名。人類学文献では古い自称からAleut、また居住する島名からKodiakと表記されている)、チュクチ族などにもあり、20世紀初めには、まだ見られたようだ。

このベルダーシュ制は、近代以前の同性結婚の例として、社会学や同性愛研究の文献などにもよく登場する。こうした制度は、近代文明が波及するにしたがい、白人のキリスト教宣教師たちによって「同性愛的な悪習」とされ、禁止され失われていった。そして、20世紀後半からは、今度は近代的な性同一性障害者の性転換治療という、近代科学的な装いをまとった「治療法」が、全世界的レベルで普及していくことになる。

日本および中国の伝統的な同性愛関係

[編集]

一方、古代ギリシャのペデラスティとほぼ同様な制度も、東アジアアフリカなど、世界の他の地域にも存在した。

中国 福建省

たとえば、中国明代から清代にかけて福建省の南部では、同性愛(当時は「南風」と呼ばれていた)が流行していた。大量の史料によって、当時この一帯では「契兄弟」と「契児」が盛んに行われていたことが裏づけられている。例えば、沈徳府1578年-1642年)の『万暦野獲編』補遺巻三の「契兄弟」にはこうある。

「福建人はひどく男色を重んじ、貴賎、美醜を問わず、それぞれ同類ということで付き合う。年上のほうが契兄、若い方が契弟になる。弟の父母は兄を娘婿のように慈しみ可愛がり、弟のその後の生計や妻を娶る費用は、すべて契兄が引き受ける。たがいに愛し合う者は、正月を迎えるにも夫婦のように寝台を共にすることを尊ぶ。はなはだ親しいのに思いどおりにならない者が、抱き合って波中に溺れる(心中する)ことがつねにみられる。これは年齢も容貌も似たりよったりである者だけである」 ※()内は引用者による補足

「ちかごろ契児と称するものは淫を好み、ともすると多額の金を費やして容貌の美しい者を集め、寝具をいいものにすることを重んじ、父親を自任し、多数の若者を子どものように扱う」

とある。同性愛の関係が「契兄弟」「契児」といった擬制的な兄弟関係、親子関係として扱われていたことがわかる。

福建のこの風習は、売春のような一時的な快楽を追求する性的な遊びのようなものではなく、かなり真面目なものだったようだ。特に契兄弟の同居は婚姻に似通い、たがいに貞操義務を持っていた、二人の関係は公然たるもので、父母や親戚、朋友など社会的にも認められていた。さらに二人が関係を始めるに当たっては、契弟や契児が童貞(つまり初婚)であれば、初婚の女性と婚姻する場合と同じように、契兄や契父は結納を贈り、三茶六礼といった婚姻と同様の儀式が行われていた[32]

一般に、この風習は年長者がをもって年少者を導くという儒教的な伝統に根差していると思われていた。現在でも、香港カンフー映画などに見られるカンフーマスターと若き弟子の師弟関係に、どこか近いものが感じられる。

日本

福建省のように結納、三茶、六礼といった式典こそ無いものの、日本にも似たような同性同士の関係があった。

南北朝時代ないし室町時代に成立した『秋夜長物語』など、著名な稚児物語(男性同性愛文学)に描かれているように仏教寺院の僧侶と稚児の間に、年長者が年少者を性的にも愛して導くような関係があったことはよく知られている。また、この風習は武家の間にも浸透し、織田信長森成利(乱丸、蘭丸)[注釈 4]のように、儒教的な君臣関係の中に、同性愛的な関係が融合しているケースもある。

江戸時代には、こうした男性同士の関係は、衆道と呼ばれ、年少者のほうを特に「念者」と呼ぶような一般的な呼称まで存在した。また同性カップル相互の年齢や社会的な地位が近い場合には「義兄弟」という兄弟関係に擬制されることもあった。この場合はパートナー相互を「念友」と一般的に呼称した[33]

近代における同性結婚概念の成立

[編集]

このように、人類の歴史において同性愛は、アブラハムの宗教に影響されない時代・地域では、人間の持つ自然な感情とされ、そのパートナーシップが社会から尊重され、様々に制度化されてきた歴史がないわけではない。ただ、それらの多くは、古代ギリシャのペデラスティ、日本の江戸時代における衆道に代表されるように、男女の婚姻関係よりも、師弟関係、君臣関係、親子関係、友人関係などに擬制される場合が多かった。そうでなければベルダーシュ制のように、どちらか一方の社会的な性別の変更を伴った上で、擬制的な異性愛として婚姻関係を結んでいた。

同性愛のカップルが異性愛のカップルである結婚と相似な関係であるとみなされ、性の転換をともなわない状態で、それに擬制され始めたのはごく最近のとこで、19世紀後半から20世紀にかけてと思われる。また本格的に議論の対象になり、社会的に制度化され始めたのは、20世紀も後半になってからのことだ。

これには、二つの理由が考えられる。

一つは、近代社会のベースを形成したのは欧米のキリスト教社会だが、そこでは、同性愛が長きにわたり反自然な罪悪として、禁圧の対象だったことだ(実際としては同性愛は広く見られた)。そのためペデラスティやベルダーシュ制に類するような同性同士の社会的な関係に関する伝統的な習俗は絶滅してしまった。

もう一つは、そのキリスト教社会においても世俗主義が強まり、教会が絶対的な権威を失って、同性愛者たちが社会の表面に現れ始めたのとほぼ同時期に、異性愛カップルの結婚にも変化が現れたことである。それまで結婚は、日本の家制度に代表されるように、結婚する男女が属する共同体同士の絆を結ぶために行われることが一般的だった。しかし近代になって、結婚はそうした前近代的な関係から脱して、個人同士の親密さを基盤とした、よりプライベートな結びつきへと変化していったのである。

とくに20世紀に入って、男女の恋愛関係や結婚が、個人の愛情と意志に基づくことが普通になり、その関係を社会的にも保障する制度などが整備されてきた。それにともない、同性愛者の間にも、そうしたプライベートなパートナー関係への欲求が高まり、同性結婚に対する憧れや、それを保障するような社会制度を要求する声が、彼らの間からも出始めたものと思われる。

世界で最初の同性結婚カップルは、1989年10月1日に、デンマークの登録パートナーシップ法により結婚した、ゲイの権利活動家のアクセル・アクシギル(Axel Axgil)と実業家のEアイギル・アクシギル(igil Axgil)である。同国では、2012年6月15日に同性結婚が法制化された。

2001年4月1日にオランダが世界で初めて法制化して以降(オランダの同性結婚)、直近で2024年2月16日にギリシャで合法化されたことで、36ヶ国で同性結婚が法制化されている。

年表

[編集]

以下の表は、同性婚を合法化した主権国家国際連合加盟国および、台湾を統治する中華民国)の年代順による一覧。 2024年現在、38ヶ国が何らかの形で合法化している(ネパールにおける同性婚の状況は曖昧である)[34]

()内の月日は、同性カップルの結婚が正式に認定され始めた日。

同性結婚を法制化した国・地域 (月日)
2001 オランダの旗 オランダ (4月1日)
2002
2003
2004
2005
2006 南アフリカ共和国の旗 南アフリカ共和国 (11月30日)
2007
2008
2009
2010
2011
2012
2013
2014
2015
2016
2017
2018
2019
2020
2021
2022
2023
2024
2025

世界における同性結婚

[編集]

以下、2024年2月16日現在で同性結婚が合法である38ヶ国一覧(国または一部の法域)。

  同性カップルの結婚が可能
  保留中:政府/裁判所は同性結婚を合法化したが法律は施行されていないか、裁判所は合法化を命じたが法案は可決されない
  他の特定の法域で行われた場合に完全に認識される同性結婚
  限られた国内の法的承認(未登録の同棲、法的後見人容認)
  拘束力のない認証
  他の特定の法域で行われる結婚の限定的な承認(居住権)
  同性結婚は法的に認められていないが、同性結婚を支持する判決を下した国際裁判所の対象国
  同性カップルに関する制度が無い又はイスラム圏など同性愛自体が違法な国。係属中の判決もなし。

(リスト上方の色は下方の色に優位に立つ)
未施行の法律を含む。

対照的に、33か国(2023年現在)では、憲法上に男女間の結婚の定義があり、同性結婚を明確に禁止している。これらの国は、アルメニア、ベラルーシ、ボリビア、ブルガリア、ブルキナファソ、ブルンジ、カンボジア、中央アフリカ共和国、中華人民共和国、クロアチア、コンゴ民主共和国、ドミニカ共和国、ジョージア、ホンジュラス、ハンガリー、ジャマイカ、ケニア、キルギスタン、ラトビア、リトアニア、モルドバ、モンテネグロ、パラオ、パラグアイ、ポーランド、ルーマニア、ロシア、ルワンダ、セルビア、スロバキア、南スーダン、ウガンダ、ウクライナ、ベネズエラ、ジンバブエである。他のいくつかの国では、イスラム法(シャリーア)が憲法で義務付けられており、これは一般に同性結婚を禁止していると解釈されている。前者の一部と後者の大半の国々では、同性愛自体が犯罪化されている(ソドミー法)。

以下の国や地域の一覧は、何らかの形で調査できたものを全て挙げた。年号は、原則として法の成立年である。

まずは、同性結婚を異性間の婚姻と同等とみなし、夫婦とほぼ同じ権利を認める国や地域を挙げる。

※国によっては海外領土や国内の一部地域に影響が及ばない場合もある。

ヨーロッパ

[編集]

オランダの旗 オランダ

[編集]
  • 2000年12月21日 同性結婚法 (Act on the Opening Up of Marriage) が成立。
  • 2001年4月1日 同法律、施行[38]
世界で初めて異性同士の結婚と全く同等の婚姻制度を採用、海外養子も可能である。

ベルギーの旗 ベルギー

[編集]
  • 2003年1月30日 同性婚法が成立(親権、養子縁組の規定に違いがあった)[39]
  • 2003年6月1日 同法律、施行
  • 2005年 下院議会が同性同士に養子縁組を認める法案を可決

スペインの旗 スペイン

[編集]
  • 2004年12月30日 社会労働党政府は同性婚を認める法案の提出を承認
  • 2005年6月30日 同性婚法が成立[40]
  • 2005年7月3日 同法律、施行
サパテーロ首相の演説より
「これは、法律用語でできた無味乾燥な一節を単に法典に加えた、という話ではない。言葉の上では小さな変化かもしれないが、何千もの市民の生活にかかわる計り知れない変化をもたらすものだ。私たちは、遠くにいるよく知らない人たちのために法律を制定しているのではない。私たちの隣人や、同僚や、友人や、親族が幸福になる機会を拡大しようとしているのだ」

ノルウェーの旗 ノルウェー

[編集]
  • 1993年 登録パートナーシップ法が成立
  • 2008年6月17日 同性婚法が成立[41]
  • 2009年1月1日 同法律、施行

スウェーデンの旗 スウェーデン

[編集]
  • 1994年 登録パートナーシップ法が成立(同性同士のみを対象)
  • 2009年4月1日 同性婚法が成立[42]
  • 2009年5月1日 同法律、施行

ポルトガルの旗 ポルトガル

[編集]

アイスランドの旗 アイスランド

[編集]
  • 1996年 登録パートナーシップ法が成立(同性カップルのみ対象)
  • 2010年6月11日 同性婚法が成立
  • 2010年6月27日 同法律、施行[45]

アイスランドの政治家、ヨハンナ・シグルザルドッティルは私生活ではレズビアンで、2009年2月1日首相に就任し、同性愛者を公言した世界初の国家首脳になった。さらに、2010年6月27日に女性脚本家と結婚し、同性結婚をした世界初の国家首脳となった。

デンマークの旗 デンマーク

[編集]
  • 1989年5月26日 登録パートナーシップ法が成立
世界で初めて登録パートナーシップ法が成立した。10月1日施行。
性別に規定されない結婚の定義を導入する形で、同性婚を可能にする法律が成立。6月15日同法律、施行。

フランスの旗 フランス

[編集]

同性婚解禁法案の可決直後、反対派によって違憲審査請求がなされたが、5月17日にフランスの違憲審査機関、憲法会議は「合憲」の判断を下し、これを退ける。翌18日にオランド大統領が法案に署名、成立した[48]。この民事連帯契約法 (Pacte civil de solidarité; PACS) は当事者自身が自由に契約内容を決め、契約書を作成し、それを裁判所に提出して公証してもらうような制度であり、これはフランスでは婚姻や離婚に関する法律的な条件が日本などに比較するとハードなためらしく、何らかの理由で結婚できない異性愛の同棲カップルが、同性のカップルと同様、PACSを利用したりする場合もある[注釈 13]

国民の間では、反対・賛成の評価が二分している。特に、合法化後は、反対派の抗議が激しくなっており、2013年5月21日には、ノートルダム寺院で、フランスの作家が自殺した。同性婚合法化への抗議とみられる[49]

2013年5月26日には、パリで同性婚反対派による大規模なデモ(参加者は、主催者発表では100万人、フランス当局発表では15万人)が発生、警察と衝突し、96人が逮捕された[50]

2013年5月29日には、フランス初の同性婚カップルが誕生したが、彼らの結婚式場には反対派のデモ隊が詰めかけ、カップルが式場に入ろうとした時、発煙筒が投げつけられるなど騒動が起き、機動隊が式場を警備をする事態となった[51]

2013年6月9日には、全仏オープンの決勝戦で、同性婚合法化への抗議を目的として、半裸の男が乱入する騒ぎがあった[52]

イギリスの旗 イギリス

[編集]

※一部海外領土において同性婚は認められていないので、国全体として合法化されたわけではない。

ルクセンブルクの旗 ルクセンブルク

[編集]
同性婚カップルによる養子縁組も可能。

アイルランドの旗 アイルランド

[編集]
  • 1993年 犯罪とされていた同性愛が合法化
  • 2010年7月1日 シビル・パートナーシップ法 (Civil Partnership) 容認を採択
  • 2015年5月22日 同性婚を認めるための憲法改正をするべきかを問う国民投票を実施。賛成が多数で世界で初めて、国民投票で同性婚が合法化されることになった[54]
  • 2015年11月16日 法案が施行[55]

フィンランドの旗 フィンランド

[編集]
  • 2001年 登録パートナーシップ法
  • 2014年11月28日 同性婚法が成立
  • 2017年3月1日 同法律、施行[56]

グリーンランドの旗 グリーンランド

[編集]
  • 1996年 デンマークの登録パートナーシップ法とほぼ同様のものが施行
  • 2015年5月26日 同性婚法が成立
  • 2016年4月1日 同法律、施行

マルタの旗 マルタ

[編集]
  • 2014年
  • 2017年7月12日 同性婚法が成立[57]
  • 2017年9月1日 同法律、施行

ドイツの旗 ドイツ

[編集]
  • 2001年 ライフ・パートナーシップ法 (Lebenspartnerschaftsgesetz) 成立
  • 2002年 実施
  • 2017年6月30日 同性婚法が成立[58]
  • 2017年10月1日 同法律、施行

オーストリアの旗 オーストリア

[編集]
  • 2003年 非登録の同棲制度、判例により同棲している同性パートナーに婚姻関係がない同棲している異性パートナーと同様の権利を認めた。
  • 2010年
  • 2017年12月4日 最高裁は同性間の結婚合法化
  • 2019年1月1日 同法律、施行[59]

スイスの旗 スイス

[編集]
  • 2005年 登録パートナーシップ法
  • 2007年1月1日 同法律、施行
同性同士のみ、養子はできない。
  • 2021年9月26日 国民投票で同性婚の合法化に2/3以上が賛成[60]
  • 2022年7月1日 同法律、施行[61]

スロベニアの旗 スロベニア

[編集]
  • 2005年 登録同性パートナーシップ法 (Registered Same-Sex Partnership) 成立
  • 2006年7月23日 同法律、施行
  • 2015年3月4日 同性婚法が成立
  • 2015年12月20日 同性婚法が国民投票否決
  • 2022年7月8日最高裁は同性間の結婚合法化

アンドラの旗 アンドラ

[編集]
  • 2005年 登録の同棲制度 (Registered Cohabitation)
異性の同棲カップルも利用可能。
  • 2023年2月17日 同法律、施行

エストニアの旗 エストニア

[編集]
  • 2016年[62]
  • 2024年1月1日 同法律、施行

ギリシャの旗 ギリシャ

[編集]
  • 2015年
  • 2024年2月15日 同法律、施行

リヒテンシュタインの旗 リヒテンシュタイン

[編集]
  • 2011年[62]
  • 2024年5月16日
  • 2025年1月1日 同法律、施行

北アメリカ

[編集]

カナダの旗 カナダ

[編集]

この法律では結婚を「すべての他人を除外した2人の人物の合法的な連合」と定義している、つまり異性間の結婚と同性間の結婚に区別がない。

カナダは居住条件抜きで同性結婚を認めるおそらく唯一の国である[要出典]。多くの外国の同性カップルが、その結婚が彼らの生国で承認されるかどうかにかかわらず、結婚するためにカナダを訪れた。カナダでの婚姻証明を国内でも認めるかどうかを巡って、アイルランドイスラエルで訴訟が行われている。

日本人の場合には、2002年5月24日より、海外での結婚に必要な「婚姻要件具備証明書」に婚姻の相手方の性別を記載する欄が新たに設けられ、相手方の性別が同性の場合は「婚姻要件具備証明書」が交付されないことになっていた。そのため、カナダでも、外国人同士の結婚に「婚姻要件具備証明書」の提出が不要な州でなければ同性結婚はできなかった[注釈 16]

しかし、2009年5月26日、同性愛者の活動グループの要請で、日本の法務省は、同性同士の結婚を認めている外国で、邦人が同性婚をすることを認めなかった従来の方針を改め、独身であることなどを証明するために結婚の手続きで必要な書類を発行する方針を決めた。

カナダの婚姻証明によって日本の戸籍には婚姻の記載は行われないが、カナダでの同性同士の婚姻証明を婚姻とみなすかみなさないかは、日本でも、個々の訴訟案件において、司法当局である裁判所の判断待ちとなる(通例、法律上の結婚は、戸籍への記載ではなく、役所への婚姻届の受理をもって成立するとされるため。たとえば日本の戸籍を持たない外国人同士の異性愛カップルが結婚した場合、日本の地元の役所に婚姻届を出せば、戸籍への記載の代わりに婚姻届受理証明書を出してもらえ、それで婚姻が成立したことになる)。

メキシコの旗 メキシコ

[編集]
  • 2009年12月21日 メキシコシティ市議会は、同性婚を認める法律を可決。29日に市長が署名した。2010年3月4日に施行された。メキシコでは初の合法化である[64]
  • 2011年11月28日 キンタナ・ロー州において、婚姻を定める法律に性別の規定が無いことが問題となった。2012年5月に認められることとなった[65]
  • 2022年10月26日 同法律、施行。

アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国

[編集]
アメリカ合衆国ミネソタ州で同性結婚が合法化された直後に新たに結婚したカップル(2013年5月)
アメリカ合衆国ルイジアナ州ニューオリンズで結婚式を挙げた同性カップルたち(2017年11月11日)

2012年12月7日、合衆国最高裁判所は、「同性婚のカップルが税や社会保障の制度上、異性間の夫婦と同様の権利を保障されるべきかどうかを審理する」と発表し[66]、その後2013年6月に、同性婚が容認されている州内において、同性婚のカップルに異性婚のカップルと同等の権利付与を、排除していた連邦法を「違憲無効」とする判決を下した(United States v. Windsor[67]。判決内容は「連邦法である結婚保護法の一部が、アメリカ合衆国憲法修正第5条に違反する」というもの。それと同時に「米国人と外国人という組み合わせの同性婚カップルも、外国人配偶者が永住権や査証を取得できる」との判断も示し、アメリカ合衆国国土安全保障長官(2009年-2013年)のジャネット・ナポリターノ民主党)も判断を尊重する声明を発表した[68]

各州で同性婚が州法で合法化される中、2014年までに13の州が同性婚を禁止していたが、これに対し同性婚を容認するよう同性カップルが提訴、同年11月にオハイオ州、ミシガン州、ケンタッキー州、テネシー州の4つの州を管轄する合衆国高等裁判所が、同性婚を許容しない判断を示したために、最高裁判所に判断が委ねられることになった。

2015年6月26日合衆国最高裁判所は「法の下の平等」を定めた「アメリカ合衆国憲法修正第14条」を根拠にアメリカ合衆国の全ての州での同性結婚を容認する判決を下した(9名の裁判官のうち同性結婚に、5名が支持、4名が反対、「オーバーグフェル対ホッジス裁判」も参照)。これによりアメリカ合衆国において同性婚のカップルは異性婚のカップルと平等の権利を享受することになった[69]。なお、同性婚の際の配偶者の姓に関しては異性婚と同様に同姓や別姓など様々な選択肢がある[70]

マサチューセッツ州の旗 マサチューセッツ州
[編集]
カリフォルニア州の旗 カリフォルニア州
[編集]
  • 2003年 ドメスティック・パートナー法が成立 (Domestic partnerships in California)
  • 2008年5月15日 カリフォルニア州最高裁が「同性結婚を認めないのは州憲法違反」との判決を、4対3の多数決で下す。アーノルド・シュワルツェネッガー知事も「判決を尊重する」と表明。全米2番目の同性結婚合法州となった。
  • 2008年11月4日 同性結婚を禁止する「提案8号」(Proposition 8)を含む憲法改正案について住民投票が行われ、提案8号は賛成が反対をわずかに上回り可決・成立した。同性結婚は禁止、結婚は男女に限られることとなった。
  • 2009年5月26日 州最高裁は、「提案8号」について、「平等な人権を保障した州憲法に違反する」と無効にすることを求めた同性婚推進派の訴えを退け、住民投票を有効(同性結婚は禁止)とする判決を下した。一方、この住民投票前に婚姻届を提出した同性カップル約1万8000組の婚姻はそのまま有効とし、法的な権利を剥奪することはないとした。
  • 2010年8月4日 カリフォルニア州サンフランシスコ連邦地裁は「提案8号」は違憲であり無効とする判決を下した。ただし、この判決に対する控訴等の法的闘争が継続する見込みであり、今後二転三転して混乱を生む恐れもあることから、判決に対する差し止め請求も同時に認めた。従って2010年8月の時点ではカリフォルニアでは同性結婚は合法だが、実務上新たに同性結婚することはできなかった[71][72]。この判決は米国内で大きな反響を呼んでおり、共和党でもシュワルツェネッガー州知事のように歓迎の意を表明する者もあれば、同じく共和党のLamar S. Smith連邦下院議員のように反対の立場から下院による介入を主張する者もいる[73]
  • 2013年6月26日 米連邦最高裁は同性婚を禁じたカリフォルニア州の法律が違憲だとする連邦第9巡回区控訴裁判所の判決を支持する判断を下した。補足すると、訴裁判所の判決を支持するのではなく、原告(提案8号の支持者)に原告としての資格がないことを理由に自らの判断を下すことを拒否した。Hollingsworth v. Perry連邦最高裁は、これに伴いカリフォルニア州のブラウン知事も州の法律の改正の方針を発表した[67]。先の決定に伴い、米サンフランシスコの連邦高裁は28日、住民投票に基づいてカリフォルニア州内での同性婚を禁止した州法の規定を無効とすることを決めた。これにより同性婚賛成派勝訴の判決が確定、即日同性婚の受付が再開された[74][75]
コネチカット州の旗 コネチカット州
[編集]
  • 2008年10月12日 コネチカット州最高裁は同性愛者の婚姻を認める判決を下した。
  • 2008年11月12日 同性結婚の登録が始まった。
アイオワ州の旗 アイオワ州
[編集]
  • 2009年4月3日 アイオワ州最高裁は同性間の結婚を禁じる州法を違憲とする判決を下した。今後21日内に同性間の結婚が認められる見通し。
  • 2009年4月27日 同性結婚の登録が始まった。
バーモント州の旗 バーモント州
[編集]
  • 2009年4月7日 バーモント州議会は同州知事が拒否権を発動していた同性婚の合法化を目指す法案について改めて採決を行い、再可決した。9月1日から同性間の結婚が認められる。
  • 1999年12月20日 バーモント州最高裁判所はベイカー対バーモント裁判英語版において、結婚している異性のカップルと相似している同性のカップルに対して州議会は同一の権利を与えなくてはならないと判決した。
  • 2000年4月 ドメスティック・パートナー法が成立、当時の知事ハワード・ディーン が署名。
ニューハンプシャー州の旗 ニューハンプシャー州
[編集]
  • 2009年6月3日 ニューハンプシャー州のリンチ知事(民主)は、同性愛カップルの結婚を認める州法案に署名し、同法が成立した。2010年1月から施行された。
ワシントンD.C.の旗 ワシントンD.C.
[編集]
  • 2009年12月18日 ワシントンD.C.のフェンチ市長(民主)は、同性婚を合法化する法案に署名し、3月9日から同性間の結婚が認められる。
ニューヨーク州の旗 ニューヨーク州
[編集]
ワシントン州の旗 ワシントン州
[編集]
  • 2012年2月13日 ワシントン州のグレゴワール知事(民主)は、同性婚を合法化する法案に署名し、法案が成立した。
  • 2012年11月6日の住民投票で賛成が上回り、2012年12月6日より登録が開始された。
メイン州の旗 メイン州
[編集]
  • 2009年5月6日 メイン州議会は同性婚を合法化する法案について可決した。9月11日から同性間の結婚が認められる計画だったが、その法の施行前に住民投票を行い、11月3日に法は廃止。
  • 2012年11月6日の住民投票で賛成が上回り、同性婚が認められた。2012年12月29日より登録が開始された。
メリーランド州の旗 メリーランド州
[編集]
ロードアイランド州の旗 ロードアイランド州
[編集]
デラウェア州の旗 デラウェア州
[編集]
  • 2013年5月7日 デラウェア州で、同性婚を認める法案が成立。7月1日より施行。
ミネソタ州の旗 ミネソタ州
[編集]
  • 2013年5月14日 ミネソタ州で、同性婚を認める法案が成立。8月1日より施行。これにより、アメリカでは14の州と地域で同性婚が容認されることとなった。
ニューメキシコ州の旗 ニューメキシコ州
[編集]
ニュージャージー州の旗 ニュージャージー州
[編集]
  • 2013年9月27日 ニュージャージー州で、同性婚を認める法案が成立。10月21日より施行予定。これにより、アメリカでは16の州と地域で同性婚が容認されることとなった。
ハワイ州の旗 ハワイ州
[編集]
  • 2013年11月13日 ハワイ州で、同性婚を認める法案が成立。12月2日より施行予定。これにより、アメリカでは17の州と地域で同性婚が容認されることとなった。
イリノイ州の旗 イリノイ州
[編集]
  • 2013年11月20日 イリノイ州で、同性婚を認める法案が成立。2014年6月1日より施行予定。これにより、アメリカでは18の州と地域で同性婚が容認されることとなった。

中央アメリカ

[編集]

コスタリカの旗 コスタリカ

[編集]
  • 2018年 コスタリカの憲法裁判所は、同性婚を妨げる国内の法律は違憲であると判断。
  • 2018年8月8日 コスタリカの最高司法機関は「同性婚認めないのは憲法違反であり差別的、18ヶ月以内に法改正をする必要がある」との判決を出した、これにより法改正がなされない場合でも同性婚禁止規定は無効となる[76]
  • 2020年5月26日 コスタリカ国内で同性婚が合法化。中米で同性婚が認められた国はコスタリカが初[77]

キューバの旗 キューバ

[編集]
  • 2022年9月26日  国民投票で同性婚の66.85%合法化。

南アメリカ

[編集]

アルゼンチンの旗 アルゼンチン

[編集]
  • 2003年 ブエノスアイレス州リオネグロ州で、2年以上の交際関係にある同性同士に対し、個人的契約という形で各自治体がシビル・ユニオン制度に基づく登録を認めた。
  • 2010年5月5日 下院議会は同性婚を可能にする民法改正法案を可決
  • 2010年7月15日 民法改正法案が上院議会を通過[78]
  • 2010年7月22日 同法律、施行

ブラジルの旗 ブラジル

[編集]
  • 2011年5月5日 ブラジル最高裁判所は、同性婚のパートナーにも異性間の結婚と同等の法的権利を認める判断を下した。今後は、同性婚パートナーも法的に「家族」と認められることになる[79]。そもそもブラジルには同性愛者間の(事実上の婚姻である)シビル・ユニオンや同性婚に関する法律がブラジルに存在していない。

リオデジャネイロのセルヒオ・カブラル知事と検事局が、全ての州職員に同等の権利を与えたいとして、最高裁の判断を仰いでいた。

ブラジル・サンパウロ(Sao Paulo)で毎年開かれるプライド・パレードは、世界でも有数の規模を誇る。だが、その一方で同性愛者に対する差別や暴力、殺人なども、世界の中で際立って高く、また、同性婚に反対するカトリックの信者数でも世界最大なため、同性愛者の権利に対する抵抗も強い[79]

  • 2013年5月15日 ブラジル公正評議会は、同性婚のカップルが婚姻届を出しても、拒否はしないとする決定を表明した。ブラジルでは、国会が同性婚を合法化していないがブラジル最高裁がトップを務めるブラジル公正評議会は、政府は同性愛者が婚姻届を出した場合、拒否する立場に無いとする考えを表明した。ブラジル・バー協会の人権担当者は、「この決定は、ブラジルで同性婚が認められたも同然ということだ」と歓迎の意を表している[80][81][82][83]

ブラジル国会では、強力なカトリック勢力が同性婚に反対しており、同性婚認可の法律を採決するまでに至っていない。しかし、ジョアキム最高裁裁判長は、婚姻証明書発行役場は、国会での同性婚認可法案の可決を待って同性婚の婚姻届を受理する理由はない、との見解を示している。バルボサ裁判長は、今回表明した見解の根拠として、2011年にブラジル最高裁が、憲法は同性愛者にも異性愛者と同じ権利を認めているとして、ゲイのカップルを認める採決を下したことを挙げている[80][82][83]

ブラジル国内では、同性婚の婚姻届を受理する役場もあれば、受理しない役場もあり、いくつかの州の裁判所では同性婚を認める決定を下しているところもある。今回のブラジル公正評議会の見解は、同性婚に対する国としての基準を示すことになった[80][82][83]。なお、効力の発効は16日付け。

コロンビアの旗 コロンビア

[編集]

ウルグアイの旗 ウルグアイ

[編集]
  • 2013年4月2日 同性結婚法案が上院を通過し、下院の審議入り[86]
  • 2013年4月10日 同性結婚法案が下院を通過し、ホセ・ムヒカ大統領の署名後に成立の見通し。世界で12番目の同性結婚容認国へ[87]
  • 2013年5月3日 ホセ・ムヒカ大統領が法律に署名。8月5日に施行。

エクアドルの旗 エクアドル

[編集]
  • 2008年
  • 2019年6月12日 エクアドルの憲法裁判所は、同性婚を妨げる国内の法律は違憲であると判断。
  • 2019年7月8日 同法律、施行

チリの旗 チリ

[編集]
  • 2015年
  • 2021年7月21日
  • 2022年3月10日 同法律、施行

アフリカ

[編集]

南アフリカ共和国の旗 南アフリカ共和国

[編集]
  • 2005年12月 内務大臣対Fourieの訴訟で南アフリカ共和国最高裁判所が、同性カップルに結婚する権利を与えないのは憲法違反という判決を下す。
議会に対して12ヶ月以内に婚姻法を改正するように命じた。翌2006年、南アフリカの議会は11月14日に同性同士の結婚を認める法律を賛成多数で可決した。法的に同性婚が認められるのはアフリカ大陸では初であり、世界で5番目である[88]

オセアニア

[編集]

ニュージーランドの旗 ニュージーランド

[編集]

オーストラリアの旗 オーストラリア

[編集]
  • 2004年 首相ジョン・ハワード首相は、オーストラリア人の同性結婚と海外の同様なシビル・ユニオンがオーストラリアの法律の下で結婚として認知されないよう、結婚法を改正することを提案した。これは結果的にオーストラリアでの同性結婚を禁止することになる。審議途中、労働党の反対に合うが、結果的には、自由党と労働党は同性結婚禁止の法案を支持。2004年8月13日に議会を通過した。
しかし、州レベルでは、ビクトリア州サウスオーストラリア州の2つの州以外のすべての州が、若干のレベルでの同性間のパートナーシップを承認している。またウェスタンオーストラリア州タスマニア州オーストラリア首都特別地域 (ACT) では、アメリカのバーモント州のようにパートナー法が成立している。
オーストラリアでは2004年のジョン・ハワード政権における法改正で、結婚を異性間に限ることが明記されたため同性結婚は許可されていなかったが[94]、2017年12月7日にオーストラリア連邦議会は同性結婚を合法化する法案を可決した[95](翌8日にピーター・コスグローブ総督が署名)。 オーストラリアの総督の認可の下、12月9日に法律が発効した(原則として実際に結婚が可能になったのは2018年1月からであるが特例が認められたとして12月中に結婚したカップルもいる[96][97][98]。 この動きは2017年9月から11月に政府が行った法的拘束力を持たない自主的な郵便調査によって同性愛者の結婚に「賛成」の意見が61.6%と半数を超えたことが大きなきっかけとなった[99]
タスマニア州の旗 タスマニア州
[編集]
  • 2003年 登録パートナーシップ法が成立
オーストラリア首都特別地域の旗 オーストラリア首都特別地域 (ACT)
[編集]
  • 2005年 シビル・ユニオン法(ニュージーランドの同法律が基盤)が成立
  • 2008年 同法律、施行

アジア

[編集]

中華民国の旗 台湾

[編集]
  • 中華民国台湾)では、陳水扁民主進歩党)政権の2003年、総統府で人権基本法に基づき、同性結婚を承諾する法律制定が提案された[100][101]。しかし閣僚の間で反対され、それ以来、法律制定が引き延ばされていた。
  • 2012年8月11日 同国初となる同性(女性カップル)による仏式結婚式が、北部の桃園市で執り行われた[102]
  • 2015年 台北市高雄市台中市同性パートナー登録を制定。
  • 2016年 台南市桃園市新北市嘉義市彰化県宜蘭県新竹県嘉義県同性パートナー登録を制定。
  • 2017年5月24日 司法院が大法官会議で「同性結婚を認めないのは憲法が規定する婚姻の自由や平等権に違反する」という判断を示し、立法院に2年以内に民法を改正するよう求めた[103]。アジアで初めて同性婚の合憲性が認められることになった[103]
  • 2018年11月24日 同性婚・ジェンダーフリー教育などに関する5つの提案を含む国民投票実施。その結果、民法の改正により同性婚を保障する案が多数否決され、民法における「婚姻」の定義(一夫一妻の結合)を維持する案及び追加法案による同性婚を実現させる案が多数可決[104][105]
  • 2019年2月21日 専門法案「司法院釈字第七四八号解釈施行法」が行政院(=内閣)で可決[106]
  • 2019年5月17日 専門法案「司法院釈字第七四八号解釈施行法」が立法院(=国会)で可決[107]。法的に同性婚が認められるのはアジアでは初であり[108]、世界で27番目である。
  • 2019年5月24日 同法第27条により、「司法院釈字第七四八号解釈施行法」施行[106]

タイ王国の旗 タイ

[編集]
  • 2018年12月25日 チャンオチャ軍事内閣は同性婚に準じた関係を認める「市民パートナーシップ法案」を閣議で決定した。ただし、政局不安定により、議会での承認の時期は未定[109][110]
  • 2024年3月27日
  • 2024年6月18日 120日後法律、施行

同じ性別である理由以外の法的結婚禁止の人間関係事例・解禁論や例

[編集]

世界の国家的には法的同性結婚・パートナーシップ制度認可国が数的少数派である中でも法的な同性結婚も認めている進歩的な国においても、相思相愛でも法的結婚禁止のままとなっている人間関係事例は、主に5例ある。第1に、近親婚の禁止(きょうだい婚いとこ婚親子婚など)、第2に一度でも直系姻族となった者との結婚の禁止[111]、第3に一度でも養親子関係となった関係での結婚の禁止[112]、第4に年齢要件による結婚禁止(婚姻開始年齢や婚姻適齢制度)[113]、第5に重婚複婚の禁止(一夫多妻婚一妻多夫婚三人婚、ポリアモリー婚など集団婚の禁止[114])がある[115]

児玉聡京都大学大学院教授は同性結婚に賛成であり、同性結婚に関する議論らされる法学界隈でも「近親婚規制の差別性」議論の少なさ、同性結婚と同じく「子供」関連理由で法的に認められていない近親婚も同性結婚賛成派ならば同様に認めるべきではないかとの意見が寄せられた。これに対して、児玉は近親婚も法的に禁じられるべき理由はないとし、同性結婚と共に相互自発的愛があることを前提に、同性結婚と同様に認めるべきと回答している。世の中が同性愛には過去よりも寛容になったのに比べて、近親関連には強い不寛容なままであり、克服する必要があると指摘している[116]。イギリスでも同性結婚・パートナーシップ制度のように、兄弟姉妹での結婚やパートナーシップ制度を認めるべきとの意見が出ている[117]

ハプスブルクの顎」と呼ばれる下顎前突症の特性を持っていたカルロス2世胸像

近親婚が同性結婚可能な国でも引き続き禁止されている理由は「先天的障害の発生率が上昇するから」である。最も著名な例にハプスブルク家があり、近親婚(血族婚)を重ねた結果、子供の多くが先天的障害を持っていたり、幼ない時点での死亡するようになった。しかし、この理由は「結婚とは、国家持続のための子孫の生殖に法的保護や優遇を与えるための制度である」という同性結婚禁止国で同性同士だと法的結婚としては認可しない理由と同様であり、障害者差別でもあると指摘されている。この意見を補強する研究として、確かに近親婚は子女の先天的障害率が高くなるもの、ハプスブルク家のような近親婚を連続のケースを除き、特に一度の近親婚出産ならば認められるべきレベルの上昇率であることにある[118]

世界のいとこの結婚に関する法律
  結婚が可能としている地域
  宗教や文化に依存して許可している地域1
  地域社会に認められた上であれば可能としている地域
  特別な場合を除いていとことの結婚を禁止している地域
  刑罰を設けてはいないが法律上は禁止している地域
  性関係が場合によっては性犯罪となりうるとしている地域
  データなし

1インドヒンドゥー教を参照。

いとこ婚(四親等の血族や姻族との結婚)については許可国が多々あるものの、四親等以上とは禁止国も依然して存在している[119]。2024年3月時点で、「近親婚禁止範囲縮小」・いとこ婚(四親等婚)の解禁の是非が議論になっている韓国では、5親等以上からは遺伝的疾患発病の直接因果関係がない研究結果から解禁を賛成する意見が報道されている[120]


世界中の複婚の認否状況(2009年時点):
  民法上で認められる
  一部の地域の民法上で認められる
  海外で行われた複婚が認められる
  慣習法で認めている
  検討中
  認識されていないため、違法ではない
  違法だが黙認
  違法、憲法上で禁止される

イスラム教国・イスラム教信者の多い地域では、同性結婚の可否とは逆に法的複婚(一夫多妻制)が認められてきた。例として、インドにおけるイスラーム教徒は約2億人が暮らし、世界でイスラム教徒人口が3番目に多い国で一夫多妻制を法的に認めてきた国である。そのインドでは2024年に一夫多妻制が禁止された際に、ムスリマ(イスラム教徒の女性)からは賛否双方の意見に分かれた。[121]

非イスラム教圏としては、南米コロンビアでは2016年に法的同性結婚を認めたことと同様に、翌2017年に同性愛者男性3人が、同時に複数の人と性愛関係を築く「ポリアモリー婚」を 世帯として法的に認めた。同性愛者の権利活動家のヘルマン・リンコン・ペルフェティ弁護士によるとコロンビアでは3人以上の人間によるポリアモリー関係の例は多かったが、法的に認められたのは初のケースとなった[122]

ブラジルでは2011年に同性結婚と同性における法的パートナー関係が認められているが[123]、翌2012年8月に「3人婚」が初認可された。反対意見に対して「ブラジル家族機構」のマリア・ベレニーチェ・ディアス副理事は「3人婚」に対して、「個人的な関係性を尊重し、こうした多様な社会に暮らすことを学び、人によって異なる願望があることを認める」ことが必要だと支持表明した[124]

パートナーシップ法がある国(地域)

[編集]

以下はパートナーシップ法など、夫婦に準じる権利を同性カップルにも認める法律のある国や地域(上記の国も含む)を挙げる。

なお、以下に挙げる国や地域のパートナーシップ制度の中には、

  • 同性カップルだけを制度の対象とし、異性のカップルを制度の対象としないもの。
  • 同性カップルに限らず、異性のカップルにも制度の利用を認めるもの(男女が結婚する際に、事実上の夫婦別姓の1つの選択肢としても見做されているケースが多い[注釈 17])。

の2種類が存在する。

ヨーロッパ

[編集]

イタリアの旗 イタリア

[編集]

チェコの旗 チェコ

[編集]
  • 2006年3月15日 シビル・ユニオン法が議会を通過
  • 2006年7月1日 同法律、施行

ハンガリーの旗 ハンガリー

[編集]
  • 2009年

マン島の旗 マン島

[編集]
  • 2011年

ジャージー島の旗 ジャージー

[編集]
  • 2012年

ジブラルタルの旗 ジブラルタル

[編集]
  • 2014年

クロアチアの旗 クロアチア

[編集]

キプロスの旗 キプロス

[編集