第59回カンヌ国際映画祭
第59回カンヌ国際映画祭(だい59かいカンヌこくさいえいがさい)は、2006年5月17日から28日にかけて開催された。
概要
[編集]コンペティション部門には20本の作品が出品され、ケン・ローチ監督の『麦の穂をゆらす風』がパルム・ドールを受賞した。ローチ監督は13回目の出品で初の最高賞受賞となった。下馬評では有力と言われた『バベル』と『ボルベール〈帰郷〉』はそれぞれ監督賞と女優賞・脚本賞を受賞するに留まった。
審査員長はウォン・カーウァイが務め、オープニング上映作品はロン・ハワード監督の『ダ・ヴィンチ・コード』、クロージング上映作品はトニー・ガトリフ監督の『トランシルヴァニア』がそれぞれ上映された。
日本からは西川美和監督の『ゆれる』が監督週間の長編部門へ出品、中野裕之監督の『アイロン』が批評家週間の短編映画部門へ出品され、後者がヤング批評家賞を受賞した。
昨年に続き、ムービープラスで開会式と授賞式の模様が生中継された。また、WOWOWでも後日映画祭の模様が放送された。
受賞結果
[編集]- パルム・ドール:『麦の穂をゆらす風』(ケン・ローチ)
- グランプリ:『フランドル』(ブリュノ・デュモン)
- 審査員賞:『Red Road』(アンドレア・アーノルド)
- 監督賞:アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ(『バベル』)
- 男優賞:ジャメル・ドゥブーズ、サミー・ナセリ、ロシュディ・ゼム、サミ・ブアジラ、ベルナール・ブランカン(5名すべて『デイズ・オブ・グローリー』)
- 女優賞:ペネロペ・クルス、カルメン・マウラ、ロラ・ドゥエニャス、ブランカ・ポルティロ、ヨハナ・コボ、チュ・ランプレヴ(6名すべて『ボルベール〈帰郷〉』)
- 脚本賞:ペドロ・アルモドバル(『ボルベール〈帰郷〉』)
- カメラ・ドール:Corneliu Porumboiu(『A Fost Sau NA Fost?』)
- ある視点賞:『Luxury Car』(ワン・チャオ)
審査員
[編集]コンペティション部門
[編集]- 審査委員長
- 審査員
シネファウンデーション・短編映画部門
[編集]- 審査委員長
- アンドレイ・コンチャロフスキー( ロシア/映画監督)
- 審査員
- サンドリーヌ・ボネール( フランス/女優)
- ダニエル・ブリュール( ドイツ/俳優)
- スレイマン・シセ( マリ/映画監督)
- ズビグニエフ・プレイスネル( ポーランド/作曲家)
上映作品
[編集]ラインナップ
[編集]題名 | 監督 | 製作国 | |
---|---|---|---|
オープニング | ダ・ヴィンチ・コード | ロン・ハワード | アメリカ合衆国 |
クロージング | トランシルヴァニア | トニー・ガトリフ | フランス |
コンペティション部門
[編集]題名 原題 | 監督 | 製作国 |
---|---|---|
バベル Babel | アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ | アメリカ合衆国 メキシコ フランス |
Crónica de una fuga (Chronicle of an Escape) | イスラエル・エイドリアン・カエターノ | アルゼンチン |
パンズ・ラビリンス El laberinto del fauno | ギレルモ・デル・トロ | メキシコ スペイン アメリカ合衆国 |
ファーストフード・ネイション Fast Food Nation | リチャード・リンクレイター | アメリカ合衆国 |
フランドル Flanders | ブリュノ・デュモン | フランス |
Climates/うつろいの季節 Iklimler | ヌリ・ビルゲ・ジェイラン | トルコ フランス |
カイマーノ Il caimano | ナンニ・モレッティ | イタリア フランス |
デイズ・オブ・グローリー Indigènes | ラシッド・ブシャール | アルジェリア フランス モロッコ ベルギー |
コロッサル・ユース Juventude Em Marcha | ペドロ・コスタ | ポルトガル フランス スイス |
家族の友人 L'amico di famiglia | パオロ・ソレンティーノ | イタリア フランス |
La Raison du plus faible | リュカ・ベルヴォー | ベルギー |
街のあかり Laitakaupungin valot | アキ・カウリスマキ | フィンランド ドイツ フランス |
マリー・アントワネット Marie Antoinette | ソフィア・コッポラ | アメリカ合衆国 |
Quand j'étais chanteur (When I Was a Singer) | グザヴィエ・ジャノリ | フランス |
Red Road | アンドレア・アーノルド | イギリス デンマーク |
Selon Charlie | ニコール・ガルシア | フランス |
サウスランド・テイルズ Southland Tales | リチャード・ケリー | アメリカ合衆国 ドイツ フランス |
麦の穂をゆらす風 The Wind That Shakes the Barley | ケン・ローチ | イギリス アイルランド ドイツ イタリア スペイン フランス |
ボルベール〈帰郷〉 Volver | ペドロ・アルモドバル | スペイン |
天安門、恋人たち 頤和園 | ロウ・イエ | 中国 |
ある視点部門
[編集]題名 原題 | 監督 | 製作国 |
---|---|---|
オープニング パリ、ジュテーム Paris, Je T'aime | 複数監督によるオムニバス | フランス |
977 | ニコライ・ホメリキ | フランス ロシア |
スキャナー・ダークリー A Scanner Darkly | リチャード・リンクレイター | アメリカ合衆国 |
天国へ行くにはまず死すべし Bihisht Faqat Baroi Murdagon | ジャムシェド・ウスモノフ | タジキスタン フランス |
Bled Number One - | ラバ・アムル=ゼメシュ | フランス アルジェリア |
世界の終わりの過ごし方 Cum Mi-am Petrecut Sfarsitul Lumii | カタリン・ミツレスク | ルーマニア |
哀しみのバイオリン El violin | フランシスコ・ヴァルガス | メキシコ |
ハンモック Hamaca Paraguaya | パス・エンシナ | パラグアイ |
結婚演出家 Il Regista di Matrimoni | マルコ・ベロッキオ | イタリア |
La Californie | ジャック・フィエスキ | フランス |
譜めくりの女 La Tourneuse de pages | ドゥニ・デルクール | フランス |
Luxury Car | ワン・チャオ | 中国 |
Meurtrières | パトリック・グランペレ | フランス |
サルバドールの朝 Salvador Puig | マヌエル・ウエルガ | スペイン |
Serambi | ガリン・ヌグロホ | インドネシア |
Suburban Mayhem | ポール・ゴールドマン | オーストラリア |
Taxidermie | パールフィ・ジョルジ | ハンガリー |
十艘のカヌー Ten Canoes | ロルフ・デ・ヒーア | オーストラリア |
許されざるもの The Unforgiven | ユン・ジョンビン | 韓国 |
明日、君がいない Two Thirty 7 | ムラーリ・K・タルリ | オーストラリア |
Uro | ステファン・ファルドバッケン | ノルウェー |
森の生活 You am I | クリスティヨナス・ヴィルジューナス | リトアニア |
Z odzysku | スラヴォミール・ファビッキ | ポーランド |
クロージング リサイクル -死界- Re-cycle | オキサイド・パン ダニー・パン | 香港 |
特別招待作品(コンペティション外)
[編集]- X-MEN:ファイナル ディシジョン - ブレット・ラトナー
- エレクション2 - ジョニー・トー
- ジダン 神が愛した男 - ダグラス・ゴードン、フィリップ・パレーノ(フランス)
- ショートバス - ジョン・キャメロン・ミッチェル
- シルク - スウ・チャオピン
- スケッチ・オブ・フランク・ゲーリー - シドニー・ポラック
- 不都合な真実 - デイヴィス・グッゲンハイム(アメリカ)
- 森のリトル・ギャング - ティム・ジョンソン、カレイ・カークパトリック(アメリカ)
- ユナイテッド93 - ポール・グリーングラス
- Avida - ギュスターヴ・ケルヴェルン、ブノア・ドレピーヌ
- Bamako (The Court) - アブデラマン・シサコ
- Boffo! Tinseltown's Bombs and Blockbusters - ビル・コーチェリー
- 666号室 - ヴィム・ヴェンダース
- Chlopiec na galopujacym koniu (The Boy on the Galloping Horse) - アダム・グジンスキ
- Clerks II - ケヴィン・スミス(アメリカ)
- El-Banate Dol (These Girls) - タハニ・ラシェド
- Ici Najac, a vous la terre (Najac Here, Over to You the Earth) - ジャン=アンリ・ムニエ Jean-Henri Meunier
- Les Signes - ウジェーヌ・グリーン
- Nouvelle Chance - アンヌ・フォンテーヌ
- Requiem for Billy the Kid - Anne Feinsilver
- Sida - ギャスパー・ノエ
- Stanley's Girlfriend (Episode from "Trapped Ashes") - モンテ・ヘルマン
- The House Is Burning - ホルガー・エルンスト Holger Ernst
- The Water Diary - ジェーン・カンピオン
- ジレンマの前座劇 - フランソワ・オゾン
- Volevo Solo Vivere - ミンモ・カロプレスティ
外部リンク
[編集]- Festival de Cannes - カンヌ映画祭 公式サイト(フランス語、英語)
- Cannes Festival - 2006年の記録(英語)
- Cannes Festival - 2006年の記録(フランス語)
- 河北新報/シネマカンヌ便り2006
- 第59回カンヌ国際映画祭コンペ作品のここに注目! - シネマトゥデイ
- 映画/第59回カンヌ映画祭 - cinemacafe.net