趾 (鳥類)

三前趾足 Anisodactyl 、対趾足 Zygodactyl 、三趾足 Tridactyl 、二趾足 Didactyl

(あしゆび、: Dactyly, toe)とは、鳥類特有のつま先に該当する部分である。

鳥類の趾では、第5趾が完全に退化しており、基本は4本の趾を持つ。

第1趾が後方を向く形が多く、これはの枝を掴む際に好都合な形状をしている。この場合を三前趾足(さんぜんしそく)または正足(せいそく)と呼ぶ[1]

それぞれ第1趾(後趾)、第2趾(内趾)、第3趾(中趾)、第4趾(外趾)のように別称がある。

なお、ダチョウ目エミューでは、第1趾が退化して三趾となっており、ダチョウではさらに第2趾が退化して二趾(第3趾、第4趾)となっている。

キジ類のうちのウコッケイは、例外的に趾が5本ある。

趾の形態

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地上生活の鳥、樹上生活の鳥、また空中生活の鳥(アマツバメ類)のように、各鳥の生態によってそれぞれ適応した趾を持つ。

三前趾足(さんぜんしそく、英:anisodactyl)
第1趾が後方を向き、第2趾・第3趾・第4趾が前方を向く。最も事例が多い形態。正足。スズメ目ミサゴを除くタカ目など。
皆前趾足(かいぜんしそく、英:pamprodactyl)
すべての趾が前方を向く。アマツバメ亜目(アマツバメ科カンムリアマツバメ科)、アブラヨタカ科
合趾足(ニシブッポウソウ属 Coracias
合趾足(ごうしそく、英:syndactyl)
前方の第2趾・第3趾・第4趾が基部で合着する。ブッポウソウ目など。
対趾足(たいしそく、英:zygodactyl)
趾のうち第1趾・第4趾の2本が後方を向き、第2趾・第3趾の2本が前方を向く。カッコウ目オウム目
可変対趾足(かへんたいしそく)
対趾足のうち、第4趾を前方にも後方にもできる。フクロウ目ミサゴ
変対趾足(へんたいしそく)
対趾足のうち、第1趾・第2趾が後方を向き、第3趾・第4趾が前方を向く。キヌバネドリ目
外対趾足(がいたいしそく)
対趾足のうち、第4趾を体部方向に大きく上げられる。主なキツツキ目
三趾外対趾足(さんしがいたいしそく)
外対趾足のうち、第1趾がないもの。ミユビゲラなど。
三趾足(さんしそく、英:tridactyl)
趾が3本で、第1趾がないもの。
二趾足(にしそく、英:didactyl)
第3趾(中趾)・第4趾(外趾)のみ。ダチョウ

足ひれ

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1: 蹼足、2: 弁足、3: 三前趾足、4: 半蹼足

水鳥では水面あるいは水中で推進力を得るために、趾に蹼(みずかき)もしくは葉状のひれがあるものが多い。前者を蹼足(ぼくそく)、後者を弁足(べんそく)と呼ぶ。これらには以下の区分がある。

蹼足(ぼくそく、英:palmate)
第1趾を除く3本の趾に蹼があるもの。標準蹼(ひょうじゅんぼく)。カモ目ミズナギドリ目ペンギン目アビ目フラミンゴ目カモメ科ウミスズメ科
全蹼足(ペリカン科)
全蹼足(ぜんぼくそく、英:totipalmate)
4本の趾すべてに蹼があるもの。ネッタイチョウ目カツオドリ目グンカンドリ科カツオドリ科ウ科ヘビウ科)、ペリカン科
半蹼足(はんぼくそく、英:semi-palmate)
蹼が退化して痕跡状態となったもの。コウノトリ目セイタカシギ科など。
欠蹼足(けつぼくそく、英:incised palmate)
蹼の切れ込みが深いもの。アジサシ科
弁足(べんそく、英:lobate)
カイツブリ目オオバン属、ヒレアシ科ヒレアシシギ科

鳥類の足

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脚注

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  1. ^ 川口敏「鳥の足ウォッチング― 足から見える鳥の私生活」『BIRDER』第21巻第7号、文一総合出版、2007年7月、38-41頁。 

参考文献

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  • 小宮輝之・杉田平三『鳥の足型・足跡ハンドブック』文一総合出版、2012年。ISBN 978-4-8299-8105-4 

関連項目

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  • 鉤爪
  • 蹴爪英語版
  • 樹上棲英語版 - 対趾足(Zygodactyl)の鳥に多く見られる。
  • 降着装置 - 飛行機の着陸に必要な装置。飛んでいる最中、デッドウェイトになるため着脱式の物もあった。