香取良彦
香取 良彦(かとり よしひこ)は、日本の作曲家、編曲家、ヴィブラフォン、マリンバ、キーボード(ピアノ)奏者。洗足学園音楽大学教授。
バイオグラフィ
[編集]概要
[編集]弦楽カルテットからビッグバンド、フルオーケストラ、ヴォーカル、邦楽まで、いずれのフォーマットにおいてもその音楽づくりは創造的である。ジャズの革新的なビッグバンド・アルバムRiverside Music Garden/香取良彦JAZZ ORCHESTRA (1994) は今なお評価されており、Piezas 1/Orqesta de 4 Piezas (2001) では、ジャズにおけるエスニック・グルーヴの到来を予見した。Vibraphone奏者としての基本姿勢を示すドラムレス・トリオ「KATORIO」のほか、スタジオワークを多数こなし、2015年にはBlue Note Jazz Festival in JapanでPat Metheny (gt) と共演。
20年以上にわたりジャズを中心とした音楽教育にもたずさわり、クリニシャンの一面も持つ。複数の音楽大学で教鞭を執る一方、TV番組『山下洋輔のジャズの掟』にも出演した。
経歴
[編集]5歳で音楽教室でオルガンを始め、6歳で電子オルガンのレッスンを受け始める(〜17歳)。7歳で高橋正夫にソルフェージュを習う(〜15歳)。
千葉県立千葉東高等学校在学中、マンドリン学部で編曲を開始。ギター、コントラバス、パーカッション、ドラム、指揮を経験。フォーク/ロック/プログレ/クロスオーバー(フュージョン)のバンドで演奏を行う。
早稲田大学在学中ハイソサエティ・オーケストラ(ジャズ・ビッグバンド)に所属、ビッグバンドの編曲を始める。ヴィブラフォンの演奏を始め、浜田均に師事(〜26歳)。ハイソサェティ・オーケストラではピアノ/ヴィブラフォンを演奏。
早稲田大学理工学部電気工学科卒業(工学士 1984年)、アレンジを北川祐に師事(〜26歳)。
バークリー音楽大学に入学、Gary Burton (vib)に師事。バークリー音楽大学デューク・エリントン奨学金を受賞、作曲科首席卒業(B.A. in Music 1988)。
キャリア
[編集]メディア出演
[編集]- TV「タモリの音楽は世界だ」(テレビ東京) 1992年
- TV「クリスマスポップス&ロック」1993年(NHK・TOKYO'S COOLEST COMBO)1993年
- TV「山下洋輔のジャズの掟」(NHK教育・全9回、カトリヤン教授役) 1998年
- Radio「Session 505」(NHK FM・香取良彦Jazz Orchestra) 2002年
- Radio「Session 505」(NHK FM・Orquesta de 4 Piezas) 2003年
- TV「僕らの音楽」(フジテレビ・#120 with aiko) 2006年
- TV「僕らの音楽」(フジテレビ・#230 with COBA) 2008年
- Radio「ジャズ・トゥナイト」(NHK FM・パーソナリティ代役5回) 2013年
- TV「ムジカ・ピッコリーノ(第6話)」(NHK Eテレ)2014年
- TV「スッキリ」(NTV 八代亜紀サポート・ピアノ) 2017年
ほか
主なライヴ演奏活動
[編集]- 香取良彦TRIO [KATORIO](1990年~全国各地)
- 香取良彦JAZZ ORCHESTRA (6thヤマハ・ジャズ・フェスat Act City 1997年、2014年 at静岡音楽館AOI、1989年~ 新宿ザ・カーニバル、東京TUCほか)
- John 海山 Neptune(尺八)"竹竹" (1997年~2009年)
- Mal Waldron trio(1998年)
- 八代亜紀ジャズ・ライヴ・イヴェント(2014年~2017年)
- Blue Note Jazz Festival in Tokyo (2015年 Pat Methenyらと共演)
- 狭間美帆m-unitライヴ(2014年~)
ほか多数
執筆活動(雑誌など)
[編集]- 「21世紀の音楽入門6 和声──音色を彩るもの」寄稿「ハーモニー──ジャズがもたらしたもの」2005年
- 「キーボード・マガジン」(リットー・ミュージック)連載(月刊)「使える音楽理論」(2006年〜2008年)
- 「キーボード・マガジン」寄稿(音楽・奏法解説、CD評、インタビューほか・2006年〜2012年)
- 「高校生の音楽1」(教育芸術社) 編集協力2007年
- 「月刊エレクトーン」(ヤマハミュージックメディア)連載「カトリヤン教授の『ジャズのしくみ』12回 2014年〜2015年
教育活動
[編集]洗足学園音楽大学
[編集]- 教育・コース運営
- 1995年 山下洋輔(p)とともにジャズコース開設準備に携わり、カリキュラム設定実務を担う
- 1996年 非常勤講師、業務委託によるコース運営(〜2006年)
- 2006年 准教授(ジャズコース運営委員、〜2009年)
- 2010年 教授(〜現在)、ジャズコース統括責任者※(〜2016年)、カリキュラム委員長(〜2014年)
- ※最大50名のコース教員の統括と運営を行う
- ワークショップの企画・アテンド
- エリック・マリエンサル(sax), スタンリー・クラーク(b), パット・マルティーノ(g), ピーター・アースキン(dr), パブロ・シーグレル(p), ゲイリー・バートン(vib), スティーブ・ウィルソン(sax), カウント・ベイシー楽団, パット・メセニー(g)バンドほか
- Get Jazz Orchestra(2011年〜2016年)指導
- 山野ビッグバンドジャズコンテスト最高2位(優秀賞)
- Downbeat magazine Student Music Awards
- Large Ensemble部門2位(Outstanding Performance賞)4回/6回参加
- フル・アルバムの制作(3枚)
- 国内演奏ツアー6回
- 邦楽研究所ジャズ講座(2011年、2012年、2015年、2016年、2018年)
- 大学院講座「ジャズ指導法」6コマ(2019年)
- 米国研修旅行引率
- ニューヨーク2回、ニューオーリーンズ1回、マイアミ1回
- 担当授業
- ジャズ・ポピュラー音楽の分析法と即興演奏
- アレンジングII (5 voices, chord scale voicing)
- ジャズ・ハーモニーI (Diatonic harmony, Modal Interchange…)
- ジャズ・ハーモニーII (Chord scales, 7th chord function…)
- ハイブリッド・コード/ハーモニー
- アドバンスト・モーダル・ハーモニー
- スタイル・スタディA・B (スタイルによる具体的アレンジ)
- スタジオ・アレンジング
- チック・コリアとハービー・ハンコックの研究
- アンサンブル(ECM Ens, 4 voices Ens, 4 trombone Ens, 5 sax Ens, エスニック・グルーブ Ens)
- 卒業研究
- レッスン (Vibraphone、Marimba、Piano、作編曲、アドリブ)
東京藝術大学
[編集]非常勤講師(2003年〜現在)
- ジャズ・ポピュラー音楽理論(しくみ的解説)
- ジャズ・ポピュラー音楽演習(実演による学習)
- プロジェクト1ゼミ〜音楽音響創造特殊研究(3)楽器学(大学院)
- ジャズポピュラー音楽II(ジャズの歴史・2017年〜)
武蔵野音楽大学
[編集]非常勤講師
- ポピュラー音楽概論(2007年〜2009年)
国立音楽大学
[編集]非常勤講師(2006年〜2008年)
- レッスン (Vibraphone)
クリニック
[編集]- 演奏指導・航空自衛隊中央音楽隊(2002年〜2009年・年2日程度)
- 演奏指導・航空自衛隊浜松(2007年)
- 立川市民講座(ジャズ鑑賞入門講座・2008年)
- 宮崎公立大学市民講座2016「ジャズとアメリカ文学入門」第3回
作品
[編集]著書
[編集]- 「ポピュラー・ミュージックのための和声学」(リットー・ミュージック)1994年
- 上記改訂版「絶対分かる!ポピュラー和声」(リットー・ミュージック)1999年
- 「ツーファイブ・ジャズライン」(翻訳)フレッド・リプシアス著(リットーミュージック)1994年
- 「17のキーワードでよくわかるやさしい音楽理論」(リットー・ミュージック)2005年
- 「山下洋輔のジャズの掟」共著(全音楽譜出版社)2008年
- 「ハーモニー・オブ・ビル・エバンス」(翻訳)ジャック・レイリー著(ヤマハミュージックメディア)2014年
作曲
[編集]- オーケストラのための"交響詩"(1988年)
- 箏独奏のための幻想曲第一番"Fantasy #1"(1991年)
- ムーブ(TBS系TV)テーマ"MOVE"背景音楽(1992年)
- 東京フレンドパークⅡ (TBS系TV)テーマ"Carnaval(カルナバル)"および背景音楽(1994年)
- フル・オーケストラとビッグバンドのための交響詩”Forest People”(2011年)
- ギターとピアノのための二重奏曲(2014年出版・現代ギター社)
ほか自己ジャズ・オーケストラ等のための作曲多数
編曲
[編集]- 「Round Midnight」宮間利之&ニューハードCD"Beat Generation"1994 [Big Band]
- 「Carmen」R&B1994 [Combo w/2 vibes]
- 「Dr. Kanzo」「Kurdish Dance」山下洋輔 CD”Field of Grooves”2001 [Big Band]
- 「パロール」2002, 「戦争は終わった」2005夏木マリCD弦楽 [Horn Arranging]
- 「涙くんさよなら」TOKIO CD”TOK10”2004 [Big Band]
- 「Little Miss Jazz & Jive Goes Around the World」akiko 2005 Big Band]
- 「A White Album」akiko 2007 [Strings & Band]
- "Swing in Strings"山口葵コンサート2016 [Vocal w/Strings & Band]
- シベリウス「フィンランディア」2017 [電子オルガン3台]
- 「花は咲く/」「2声のインヴェンション第4番II/バッハ」「キャラバン/デューク・エリントン」「アイル・ビー・ホーム・フォア・クリスマス」「ア・ホール・ニュー・ワールド」 2017 [Strings w/Band]
- "Swing in Strings Vol.2"山口葵コンサート2018 [Vocal w/Strings & Band]
ほか自己バンド、学生ビッグバンド等のための編曲多数
論文
[編集]- 香取良彦「音楽の歴史:数の概念と創作のアイデア」『洗足学園音楽大学教職課程年報』第1号、2018年3月、1-16頁、CRID 1050845762577084928、ISSN 2433-9245。
主なCD
[編集]- 「Rouge Et Noir:cArmen」1994
- 「Now’s the Time Workshop Vol.2」コンピレーション 1991
- 「Riverside Music Garden」香取良彦JAZZ ORCHESTRA 1997 (as leader)
- 「Maturity 1 KLASSICS」Mal Waldron 1998
- 「Quiet Leaves」Quiet Leaves 1999
- 「Bamboo Born」TakeDake ジョン・海山・ネプチューン 2002
- 「Piezas 1」Orquesta de 4 Piezas 2003 (as leader)