ケリ
ケリ | ||||||||||||||||||||||||||||||
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水田でドジョウを捕獲したケリ | ||||||||||||||||||||||||||||||
保全状況評価[1] | ||||||||||||||||||||||||||||||
LEAST CONCERN (IUCN Red List Ver.3.1 (2001)) | ||||||||||||||||||||||||||||||
分類 | ||||||||||||||||||||||||||||||
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学名 | ||||||||||||||||||||||||||||||
Vanellus cinereus (Blyh, 1842年)[2] | ||||||||||||||||||||||||||||||
和名 | ||||||||||||||||||||||||||||||
ケリ(鳧、計里、水札) | ||||||||||||||||||||||||||||||
英名 | ||||||||||||||||||||||||||||||
Grey-headed lapwing |
ケリ(鳧、計里、水札、学名:Vanellus cinereus)は、チドリ目チドリ科タゲリ属に分類される鳥類の1種である。
分布
[編集]モンゴル高原、中国北東部、日本列島で繁殖する。冬には東南アジア、中国南部などに渡る個体も見られる。しかし、日本列島においては留鳥として、生活する個体も見られる。
形態
[編集]成鳥
[編集]雌雄は同色で[3]、成鳥の全長は34 cm程度である[4]。
成鳥の夏羽は頭部から胸上部が灰青色で、体上面は灰褐色で、体下面は白く、胸上部と体下面の境目には、黒い胸帯が有る。これに対して、冬羽は頭部からの灰青色が、やや褐色を帯びる。
翼は先の方が黒く、基半部は白色と灰褐色で、飛ぶと、これらのコントラストが目立つ。翼の小翼羽付近には爪が有り、爪の大きさや色で、雌雄の見当を付けられる。尾は白色で、黒い帯が入っている。目は赤橙色だが、黄色のアイリングが有る。嘴は短く、黄色で先端が黒い。嘴の付け根には、黄色い肉垂を持つ。足は長くて黄色である。
幼若個体
[編集]雛は、淡褐色の綿羽に覆われている。
若鳥は、頭部からの胸部にかけて灰色でやや褐色を帯びており、胸帯は薄い。また目は褐色で、アイリング・肉垂とも小さく目立たない。
- 水田を歩くケリ
- 正面
- 飛ぶ様子
- 雛
生態
[編集]水田、畑、河原、干潟、草原などに生息する[4]。食性は主に動物食で、昆虫類、ミミズ、カエル、小型の魚類などを捕食する。稀に穀類も食べる。なお、非繁殖期には小群で行動するが、繁殖期を終えても群れをつくらずつがいで生活するものもいる[4]。
繁殖期は3月から7月で、抱卵は3月初旬から中旬に始まり、抱卵・ヒナ養育に、それぞれ約1ヶ月程度かかる。クラッチサイズは4卵で、時には3卵、稀に1卵-5卵が確認される。巣は水田内や畦などの地面に、枯草を敷いて作る。よって農作業による影響を、著しく強く受ける。農作業などによって巣が破壊された場合など、繁殖期中は時にテリトリーを変えるなどして、最大で3回営巣を試みる。
非常に警戒心が強く、テリトリーにトビやカラス、ヒトなどの外敵が近付くと、鳴きながら激しく威嚇し、追い払う。その為、夜でも鳴き声が聞こえてくる場合がある。この甲高い鳴き声が、日本人には「キリッ、キリッ」、「ケリッ」、「ケケッ」などと聞こえるとされ、この鳴き声から「ケリ」という和名が付いたと言われる[5]。
- 親と雛
- 昆虫を採食中の雛
種の保全状況評価
[編集]国際自然保護連合(IUCN)により、軽度懸念(LC)の指定を受けている[1]。また、2007年8月現在において、環境省のレッドリストの指定も行われていない[6]。
ただし、日本の以下の都道府県では、以下のレッドリストの指定を受けている[7]。
- 絶滅寸前または絶滅危惧種(絶滅危惧I類、CRまたはEN) - 福島県、埼玉県、千葉県、高知県
- 危急種(VU) - 青森県
- 準絶滅危惧(NT) - 岩手県、山形県、茨城県、栃木県、神奈川県、富山県、山口県、佐賀県、熊本県
- 注目種 - 宮城県、群馬県、大阪府
類縁種
[編集]書き言葉
[編集]日本語の「けりをつける」や「けりがつく」の“けり”は、かつて使われた助動詞の“けり”から来た語である。しかし、時に「鳧」の字を当てて「鳧を付ける」と書く場合が見られる。
脚注
[編集]出典
[編集]- ^ a b “IUCN 2011. IUCN Red List of Threatened Species. Version 2011.2. (Vanellus cinereus)” (英語). IUCN. 2012年1月1日閲覧。
- ^ “Vanellus cinereus (Blyh, 1842)” (英語). ITIS. 2012年4月1日閲覧。
- ^ ひと目でわかる野鳥 (2010)、92頁
- ^ a b c 『山渓ハンディ図鑑7 新版 日本の野鳥』、210-211頁。
- ^ 野鳥の名前 (2008)、144-145頁
- ^ “植物絶滅危惧種情報検索”. 生物多様性情報システム (2007年8月3日). 2012年1月1日閲覧。
- ^ “日本のレッドデータ検索システム(ケリ)”. エンビジョン環境保全事務局. 2012年1月1日閲覧。
参考文献
[編集]- 『原色ワイド図鑑 鳥』 学習研究社、2002年、197頁。
- 日高敏隆(監修) 樋口広芳・森岡弘之・山岸哲(編)『日本動物大百科 第3巻 鳥類Ⅰ』 平凡社、1996年、85-86頁。
- 中川雄三(監修) 編『ひと目でわかる野鳥』成美堂出版、2010年1月。ISBN 978-4415305325。
- 安部直哉『野鳥の名前』山と溪谷社〈山溪名前図鑑〉、2008年10月1日。ISBN 978-4635070171。
- 叶内拓哉、阿部直哉、上田秀雄『山渓ハンディ図鑑7 新版 日本の野鳥』山と溪谷社、2014年。 ISBN 978-4-635-07033-1