小川隆 (SF)
小川 隆(おがわ たかし、1951年 - 2019年6月13日[1])は、日本のアメリカSF翻訳家、評論家、編集者。日本SF作家クラブ会員。翻訳学校ユニカレッジ講師。本名は、小林祥郎(こばやし・よしお)[1]。
来歴
[編集]東京都出身。早稲田大学第一文学部仏文科を卒業後[2]、編集者・翻訳家に。編集者として集英社で「集英社ワールドSF」を担当[3]。1981年から[3]英米SFの新作を紹介研究するファングループ「ぱらんてぃあ」を、主催(会員には山岸真、中原尚哉、内田昌之、尾之上俊彦、中野善夫らがいた)。
1985年にはファンジン『ぱらんてぃあ』でSFファンジン大賞を受賞[4]。小林祥郎名義でのSFファン活動により、1992年柴野拓美賞を受賞[4]。
1980年代に、サイバーパンクをはじめとする、アメリカSFの新しい潮流を日本に紹介した。ブルース・スターリング作品の翻訳をほとんど担当している。
ロックをはじめとしたアメリカン・ポップカルチャーに詳しく、それらとSF小説との関連をふまえた、紹介記事・評論等を執筆。晩年は、アメリカにおけるジャンル横断的な小説ムーブメントを「スプロール・フィクション」と名付け、「SFマガジン」に作品を紹介していた。
2012年には、自らが主宰するプロの翻訳家グループ〈26to50〉を立ち上げた。
2019年6月13日、心不全のため死去。67歳没[5]。2020年、第40回日本SF大賞で会長賞を受賞した。
翻訳
[編集]- 『スター・ファイター』(A・D・フォスター、新潮社、新潮文庫) 1985
- 『暗殺者の惑星』(マイク・レズニック、新潮社、新潮文庫) 1985
- 『ヴァレンティーナ コンピュータ・ネットワークの女王』(J・ディレーニイ&M・スティーグラー、新潮社、新潮文庫) 1986
- 『ブラッド・ミュージック』(グレッグ・ベア、早川書房、ハヤカワ文庫SF) 1987
- 『戦時生活』(ルーシャス・シェパード 、新潮社、新潮文庫) 1989
- 『ジャガー・ハンター』(ルーシャス・シェパード、内田昌之共訳、新潮社、新潮文庫) 1991
- 『ブラッド・スポーツ』(ロバート・F・ジョーンズ、福武書店) 1991
- 『アラクネ』(リサ・メイスン、早川書房、ハヤカワ文庫SF) 1992
- 『フィリップ・K・ディックの世界 消える現実』(ポール・ウィリアムズ、大場正明共訳、ペヨトル工房) 1991
- 新訳改題『フィリップ・K・ディックの世界』(河出書房新社) 2017
- 『ショック・ロック』(ジェフ・ゲルブ編、白石朗ほか共訳、扶桑社、扶桑社ミステリー) 1992
- 『ブルースに焦がれて』(ピート・ウェルディング&トビー・バイロン編著、大場正明共訳、大栄出版大栄教育システム出版部) 1993
- 『大潮の道』(マイクル・スワンウィック、早川書房、ハヤカワ文庫SF) 1993
- 『ボイド - 星の方舟』(フランク・ハーバート、小学館、地球人ライブラリー) 1995
- 『ずっと、人間のことばかり考えていた。』(コリン・ウィルソン、アスペクト) 1996
- 『グリンプス』(ルイス・シャイナー、東京創元社、創元SF文庫) 1997、ちくま文庫 2014
- 『ディスコ2000』(サラ・チャンピオン編、共訳、アーティストハウス) 1999
- 『プリンス オブ エジプト』(チャールズ・ソロモン、ニュートンプレス) 1999
- 『モテる男の生き方とモテないヤツのやり方』(マーク・パットン、集英社、集英社文庫) 2003
- 『『マトリックス』完全分析』(グレン・イェフェス編、共訳、扶桑社) 2003
- 『グリュフォンの卵』(マイクル・スワンウィック、金子浩・幹遥子ほか共訳、早川書房、ハヤカワ文庫SF) 2006
- 『世界の涯まで犬たちと』(アーサー・ブラッドフォード、角川書店) 2007
- 『スカーレット・ピンパーネル』(バロネス・オルツィ、集英社文庫) 2008
- ブルース・スターリング作品
- 『スキズマトリックス』(ブルース・スターリング、早川書房・ハヤカワ文庫SF) 1987
- 『ミラーシェード』(ブルース・スターリング編、共訳、ハヤカワ文庫SF) 1988
- 『蝉の女王』(ブルース・スターリング、ハヤカワ文庫SF) 1989
- 『ネットの中の島々』上・下(ブルース・スターリング、ハヤカワ文庫SF) 1990
- 『ホーリー・ファイアー』(ブルース・スターリング、アスペクト) 1998
- 『タクラマカン』(ブルース・スターリング、大森望共訳、ハヤカワ文庫SF) 2001
- 『塵クジラの海』(ブルース・スターリング、ハヤカワ文庫FT) 2004
- 「イルミナティ」シリーズ
- 『イルミナティ1 ピラミッドからのぞく目』上・下(ロバート・シェイ&ロバート・A・ウィルスン、集英社文庫) 2007
- 『イルミナティ2 黄金の林檎』(ロバート・シェイ&ロバート・A・ウィルスン、集英社文庫) 2007
- 『イルミナティ3 リヴァイアサン襲来』(ロバート・シェイ&ロバート・A・ウィルスン、集英社文庫) 2007
- 「ブックマン秘史」シリーズ
- 『革命の倫敦(ロンドン) ブックマン秘史1』(ラヴィ・ティドハー、ハヤカワ文庫SF)2013
- 『影のミレディ ブックマン秘史2』(ラヴィ・ティドハー、ハヤカワ文庫SF) 2013
- 『終末のグレイト・ゲーム ブックマン秘史3』(ラヴィ・ティドハー、ハヤカワ文庫SF) 2014
編著
[編集]- 『80年代SF傑作選』上・下(山岸真共編、早川書房、ハヤカワ文庫SF) 1992
脚注
[編集]- ^ a b 集英社クリエイティブTwitter
- ^ “フィリップ・K.ディックの世界”. 紀伊國屋書店ウェブストア|オンライン書店|本、雑誌の通販、電子書籍ストア. 2022年6月13日閲覧。
- ^ a b ノヴァクォータリィ・小川隆紹介欄
- ^ a b SFファンジン大賞リスト
- ^ 『現代物故者事典2018~2020』(日外アソシエーツ、2021年)p.124